ディスガイア小説

□夏盛りの男達
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「夏盛りの男達〜イケてない太陽〜」は、この後すぐ始まります。



邪悪学園の×××回目の夏休み。

この日はどこぞかの凶師が気を利かせてくれたのでしょうか、プール開きが行われていました。しかも、男子禁制女だけのプール開きです。

授業以外でプールが開くことなど滅多にありません。ということで、水遊びが大好きな女子生屠は大はしゃぎ。

皆お気に入りの水着を持ち入り、仲の良い友達と一緒にプールを満喫していました。

もちろん、それは一年×組の少女四人組も例外ではありません。

「おおおスゴイ!まさか凶師が本当にプール開きしてくれるなんて夢にも思わなかったわ!」

青いワンピース型の、ランク39の弓のラブアーチェリーのイラストがプリントされている、水着を身にまとった女戦士トルネアは、更衣室を出るなり嬉しそうに叫びました。

「私たちが凶師を襲って、×組だけのプール開きする手間が省けたアルな!」

学校支給のスクール水着に、「あやめ」と子供が書いたような雑な字形で書いてあるゼッケンを付けているあやめは、さりげなく一年×組の伝統行事が行われなかったことを豪語しました。

ちなみに、いつもいるメンバーより群を抜いて大きい胸が、時々彼女の動きに合わせて揺れていました。

「大方、毎年毎年僕たちにやられるのが怖いか、毎回やられていると凶師としての面目が立たなくなっちゃうから、今年は自分たちで開催したってだけでしょ」

スクール水着の上下が分かれているタイプ(ちゃんとした名前があるそうですが、残念ながら作者はそれを知らない)を身に着け、なんだかんだ言いながらプール開きが楽しみだったニトは、トルネアほどではないにしろ、喜びを見せながら呟きました。

トルネアとあやめが夏休みに繰り広げられたプールをめぐった過去の激戦の話に夢中になっている間、ニトは隣にいるあやめの豊満な胸と、自分の平らな胸を見比べてながら、ぺたぺたとない胸に手を当てながら悔しそうにボソリと

「・・・対して歳も変わらないっていうのに・・・どうして・・・?」

これが、生まれ持ってしまった肉体的差だというのか・・・!?と、自分の貧相な体形を若干恨みながら、悔しそうに歯を鳴らしました。

ニトの嫉妬に気づいてはいるものの、今の彼女に自分が何を言っても無駄なだけだと確信しているトルネアは、あえてそれをスルーして

「あれ?そういえばミンティーは?」

まだこの場にはいない、天然おバカ系天使兵ミンティーを、視線だけで探しながら呟きました。

「ミンティーなら購買で水着買ってから来るって言ってたアル。たぶんもうちょっとで来るんじゃないアルか?」

「お待たせー!」

夏の日差しに負けないぐらいの元気の良い声で、ミンティーは後ろから友人三人を呼びました。

「お、来た来た。遅いよミン・・・ティー・・・」

振り返ったトルネアが絶句するのも無理ありません。ミンティーが身に着けている水着は、マニアな人物からのウケは最高ランクに所属するといっても過言ではない超マニアックな水着、白スク水だったからです。

同じく振り返ったあやめとニトも同じように、え・・・?何でそんなマニアックな水着?購買には他にも可愛い水着とか売ってたでしょ・・・?と言葉にできない驚きを表していました。

呆然とする三人に疑問を持ちながらも、ミンティーは説明します。

「購買に行ったらアチノがいてね、私が水着買いに来たのって言ったら“ならこの水着がオススメや!これさえ着れば注目の的ナンバー1決定!さらに保証書もついてくるで!”って、途中から訳の分からない単語出てきたけど力強く豪語されちゃったから、つい圧倒されちゃって、買っちゃったんだ」

くるりとその場で一回転して水着を見せびらかすミンティーに、三人の友人は「そう・・・」と脱力気味に言うしかありません。白い水着が太陽光に反射して、とても眩しいです。

一体、アチノはどういう目的でミンティーにマニアックな白スク水を与えたのでしょう。金のため、というのは確かではありますが、ミンティーの水着と金に何の関係があるのでしょうか。

周囲の悪魔たちがクスクス笑いながら、小声で何か呟いています。人並み外れた聴力は持っていないため、何を話しているのかは聞き取れませんが、何も知らずに白スク水を着てきたミンティーを面白がって鑑賞しているのは確かです。

それでも白スク水着用の重大さに気づかないミンティーは、呆然としているトルネアの腕をつかみ

「早く泳ぎに行こっ!」

それはそれは楽しそうに、純粋かつ嬉しそうな笑顔で引っ張っていきました。

腕を引っ張られながらトルネアは思います。ミンティー自身が気にしてないし、今日は男子も、今朝ぶちのめしたソネリーもいないから、この子をいやらしい目で見る奴は存在しないし、特に問題はないんじゃないかと。

「よし!今日は思いっきり楽しみましょう!」

「うん!」

夏の日差しがジリジリ照りつける中、少女たちの夏のプール日和が始まりました。
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