ディスガイア小説

□師弟の想いは形を変えて
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「リアス。この子はリアスって名前よ」

イレーナの手に抱かれている赤ん坊は、目をぱちりと開き、自分に「リアス」という名前を与えた彼女を見てキョトンとしていました。





話は戻ってそれから約1800年後。

場所はホルルト村。前回生き別れた弟子と運命的な再開を果たしたイレーナと、連れのルファはアデルの弟子たちが住まう寄宿舎でちゃっかり夕食をご馳走になっていました。

「いいんですか?ちゃっかり晩御飯をご馳走になってしまって」

「こーゆー時は好意に素直に甘えておくのが一番なんだから気にするだけ無駄よ」

「へぇ・・・」

ルファの言葉に毅然として返してきたアリナに、彼女はなんとなくすごいというか、度胸のある人だなぁ・・・。と思いました。

晩御飯のエビフライにかぶりつきながら、ルファはこれまでの経緯を思い出します。

前回の終盤で運命の再開を果たしたイレーナと、行方不明になっていた彼女の弟子リアス。その後リアスは光の速さでその場から逃げ出し、残ったアリナという彼女の友人に「・・・ウチ来る?」と尋ねられ、好意に甘えてちゃっかり夕食までご馳走になってしまったというわけです。

「(それにしても・・・どうしてお弟子さんは逃げ出したりしたんだろう・・・)」

理解できない疑問を考えながら、最後の一本のエビフライにタルタルソースをつけるべきかつけないべきが考えていると

「ルファー。ご飯のお代わりいるかな?」

エプロン姿の、地獄では毎日のように見ていたレシアがニコニコしながらおかわりの有無を尋ねてきました。

「あ。別に大丈夫だけど・・・その、大丈夫?」

「何が?」

「あっその・・・体調・・・とか」

前回界賊船の自爆霊にとり憑かれ、しかもとり殺されかけたレシア本人は、憑かれたことに関しては何一つ覚えておらず、目が覚めた時も「あれ?何で私こんなに束縛されてるの!?」と驚きの声を上げていました。

知らぬうちに大変になったレシアの体を、ルファは心配していますがレシア本人は全く気にしてはおらず、というかとり憑かれたことすら気付いていない雰囲気で

「ん?体調なら大丈夫よ。なんだか体か軽くっていつも異常に仕事が頑張れる気がするの」

「へ、へぇ・・・」

大丈夫なら問題ないけど・・・。ルファは嬉しいのか心配なのか、ちょっぴり複雑な気持ちになっていました。

「飯おかわりー!」

「アタシもー!」

そんな事情など全く知らない馬鹿二人。ラウトとヤイナはお茶碗を持った手を伸ばして、お構いないしにレシアにおかわりを要求します。

それに彼女は笑顔で応じ、ぱたぱたと軽い足取りで歩いて行った矢先、何も無いところでつまづいて転びました。ドジは健在のようです。

「(あ、何か安心したかも・・・)あの、イレーナさん」

「なーにー?」

隣の席にいるイレーナに、ルファは恐る恐る気になっていることを尋ねます。

「ついさっきまで、レシアの体に自爆霊がとり憑いていたんですよね・・・。なのに今は大人しいっていうか・・・静かにしてるっていうか・・・」

「自爆霊のことなら心配いらないわ。アイツはもうレシアの体から出て行ったもの」

「えっ?」

驚くルファの視線を横から感じながら、イレーナはお茶を一口飲むと己の解釈から考えた解説を語り始めます。

「自爆霊っていうのはある特定の物や土地にとり憑いた悪霊っていうのは知ってるでしょ?あの自爆霊はあの界賊船にとり憑いていたと見て間違いないとすると、彼がとり憑いたレシアが強制的に船内から放出されてしまったから、あの子の体から彼は強制的に出ていってしまったのよ。だから今のレシアの体には何もとり憑いてはいないから、今のあの子は笑顔ですっ転ぶことができるってわけ」

「なるほど・・・自分で“船にとり憑いていた”とか言ってたからきっとそうなるんですよね・・・。あれ?でもイレーナさん、どうしてそのことをアナタが知って・・・」

「レシアー、ご飯おかわりー」

「話を逸らさないでください」

ぴしゃりと注意されるイレーナはそれを完全無視し、腕を伸ばしてお茶碗を差し出すのでした。

下品にならない程度に豪快にご飯をもりもり食べるイレーナを見て、彼女の向かいの席に座り、最後の一本のエビフライを食べきったラウトは、キョトンとしながら彼女に言葉をかけます。

「にしてもさぁ、リアスの師匠って聞いたから結構年くってる悪魔かと思ってたけど、思ってたより随分若いな」

その言葉にちょっとだけ機嫌を良くしたイレーナは「あら?そうかしら?」と可愛らしく尋ねると、次に言葉を出したのはラウトの隣の席に座るヤイナでした。

「言われてみればそうだなぁ。師匠の師匠めちゃくちゃ若くてべっぴんさんだもんなぁ」

「もうっ、褒めても何も出ないわよ」

両手を頬に当ててくねくねとしながら大げさに照れるヤイナの師匠の師匠。その姿はホストに甘い言葉をかけられている熟女とほぼ一致していました。

そこへホストの相手をされている熟女もといイレーナに、おかわりのご飯を渡しながら空気を読んでいないレシアの一言

「でもイレーナさんは見た目は私達と一緒でも、中身は後二百年で一万歳の高齢者だから・・・」

「レッシアちゃ〜ん。余計なこと言わなくてもいいのよ〜」

発言がしゃくに触ったイレーナ、笑顔のまま空の湯の身でレシアの頬をぐりぐりと殴りました。

「痛い痛いです〜」

「女性の年齢を軽々しく言うとこーゆー目にあうのよ〜。よーく覚えておきなさーい」

「本当!?」

この瞬間、主役Bがやけに嬉しそうな様子で尋ねましたが皆に無視されました。それでも彼は満足のようですが
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