ディスガイア小説
□修羅の国の宿屋事件簿
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夕食も無事に終わり。夜になりました。
リアス、ヤイナ、サレイア、アリナ、ロザリーが泊まっている部屋では、皆就寝の準備をしていました。
「全く、どうしてアイツは自分のやりたいことに他人を巻き込むんだ・・・」
ぽつりとリアスが愚痴をこぼし始めると、サレイアがそれに乗っかるように呟きます。
「いいじゃないの、こういうアポなしの企画って好きよ、私」
「好き嫌いの問題じゃなくて・・・」
「余は貴重な体験が出来て嬉しく思っておるぞ?」
二人の愚痴に口を挟んできたロザリーは、髪をおろしながら大変楽しそうな様子で言いました。
「この幻の国、修羅の国に泊まるなどそう簡単に出来ることではないからの。宿はボロボロじゃが仕方あるまい」
「姫さん・・・」
のん気なロザリーにリアスは呆れてしまいました。そして、女って皆こうなのか・・・?と感じ始めました。
ちなみに一言も喋っていないヤイナですが、実はとっくの昔に就寝したりしています。ぐーすか
「(アイツ寝るの早っ)ところでアリナ」
「何よ」
寝付くのが早い弟子に驚きつつ、リアスはアリナに先程気になったことを話し始めます。
「さっきラウトをボコったことで思ったんだけどさ、お前ってやっぱり幽霊が苦t」
「うっさい」
「即答する辺り、苦t」
「それ以上言うな」
「じゃあ幽霊が怖」
「黙れ水恐怖症」
そして深夜。虫の声も聞こえない静かなこの時間、全員寝静まっていると思われていましたが
「・・・・・・」
一人起きている悪魔がいました。彼女の名はアリナと言いました。
「(・・・ヤバイ、トイレ行きたい)」
どうやらトイレ行きたさに起きてしまったようです。
実はこの宿のトイレ、各部屋にはついておらず一階受付付近にあるトイレしかないので、トイレに行くためには部屋彼で手、暗い廊下と会談を降り、一階まで行かなければいかないのです。
「・・・・・・(マズイ)」
アリナさんピンチ。これは例え大人でも行くのにはちと勇気がいります。特に女の子だと
とりあえずベッドから降りた彼女はスリッパをはいてゆっくりと進み、廊下へと続くドアを少しだけ開けます。てか宿なのにどうしてベッドがあるのでしょうか。
「・・・・・・」
ドアの先にある廊下には何も無い真っ暗な空間だけが広がっており、電気はついていません。この短時間で目はなれたので少しは見えるのですが、それでも心細いというか、怖いというか・・・これ以上進む勇気は出ないというか・・・
「(・・・どうしよう・・・)」
どうせなら誰かを起こして付き添ってもらおう・・・でも待てこの年齢でそんな子供じみた真似ができるわけ・・・でもこのままずっと立っているわけにもいかないし・・・早くトイレ行きたいし・・・
と、ドアノブを握りながら試行錯誤していると
「おい」
「ギャッ!」
突然背後から声をかけられたものですから、アリナは悲鳴を上げてとっさに振り返りました。
彼女は後ろにいる人物を見るや否や、その人物をキッと睨んで
「って、何すんのよ!驚かさないでくれる!?」
「そんなこと言われてもなぁ」
少し困った様子で頭をかくその人物・・・それは片手に懐中電灯を持ったリアスでした。
「そんなのん気に頭をポリポリかかないでよ!こっちはメチャクチャびっくりしたんだから!」
よっぽど怖かったのか、半泣き状態になってしまったアリナはリアスに不満をぶつけました。
リアスは手に持っている懐中電灯を片手でくるくる回しながら
「そっか、仕方ないよな。アリナは怖いの苦手だからなービビるのは仕方がないなー」
ニヤニヤ笑いながらこの言葉、それが彼女をかなり逆上させます。
「そんな人を小ばかにしたような態度しないでくれる!それに私は別に怖くなんてないんだからね!」
「へいへい、わーってるわーってる」
「嘘つけぇ!」
今すぐ目の前にいるこの女を(杖で)殴りたくなったアリナですが、パワー的に考えると、リアスの方が一枚どころか十枚以上上手なので、確実に勝てないことは目に見えています。なので
「(今度絶対アイテム界で敵と一緒にテラスターに巻き込んでやるわ・・・)」
そう固く決心しました。
「で?何でお前はドアノブを掴んだままずっと廊下見てるんだ?」
リアスが尋ねると、アリナは即答します。
「別に、ちょっとトイレに行きたいだけよ」
「そうか、じゃあ早くいけよ」
「・・・・・・」
「・・・・・・・?」
この場に流れる沈黙。何故沈黙するのかリアスは少し考えると、ポンと手を叩き
「そうか!お前一人で行くのが怖いんだな!」
「ちっ、違うわよ!」
真っ赤になって否定するアリナですが、説得力は全くありません。