ディスガイア小説
□呪われている本
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邪悪学園。図書室。
トルネアは借りていた本を返すためにここに来ていました。暇だったミンティーも一緒に来ていました。
図書室の扉を開き、受付にいる図書委員(アーチャー女)に彼女は言います。
「すみませーん。二年ぐらい前に借りた本を返しに来ましたー」
その言葉に、ミンティーは
「(貸し出し期間長いんだー)」
と感心しました。疑わない君がすごい。
受付で恋愛小説を眺めていた図書委員は、その言葉で彼女達の存在に気づいたらしく、少し顔を赤めて慌てて本を閉じると
「あっ、へへ返却ですね!でしたらそこに置いといて下さい!」
少し慌てた口調で、返却ボックスと書かれた箱を指しました。
「ん?はーい」
何故あんなに慌てているのだろうか、そう疑問に思うトルネアですが、言われた通り持っていた本をその箱の中に入れました。
すると
「ねえトルネアー、あそこに本がいっぱい入ってるよ?何だろう」
そう言ってミンティーが指したのは、「処分用」と書かれている箱に入っている大量の本でした。
彼女の質問に答えたのは、トルネアではなく図書委員でした。
「それはこれから捨てる本ですよ。最近色々と本が増えたから、あんまり読まなくなった本を捨てていくんです」
「えーもったいない」
「欲しかったら一冊差し上げますけど」
図書委員のその言葉に、ミンティーは「いいの!?」と瞳を輝かせます。
「いいですよ。勝手に持って行ったって、誰も怒りませんから」
「そういえば、きっちり図書委員の仕事してるなんて珍しいわね。不良なの?アナタ」
ふと疑問に思ったトルネアが、図書委員に質問をぶつけるのと同時に、ミンティーは「処分用」と書かれた箱の中を探り始めました。
「いや・・・実は“今日一日ちゃんと仕事してたら授業料滞納してたこと大目に見てやる”って担任に言われて・・・」
「あ。脅されちゃったのね、可愛そうに」
「はい・・・反抗しようにもアイツ強いですし」
やれやれと図書委員が息を吐くと、箱を探っていたミンティーは、そこから鍵付きの古ぼけた分厚い本を取り出しました。
しかしそれに気づかず、トルネアは図書委員に言います。
「ねえ、その凶師の名前教えてくんない?私達が懲らしめてあげるから」
「ええっ?無理ですよ無理、あんなのに勝てっこありませんって」
首を振る図書委員に、トルネアは力説します。
「大丈夫、こう見えても数ある凶師共をぶっ倒してきてるんだから、ちょっとやそっとじゃ負けないわ」
実はそうなのです。
実は凶師嫌いのタユマの命令で、トルネアが彼に目をつけられた凶師を討伐(暗殺ともいう)することが多々あるのです。もちろん他の生屠だってやっていますが、トルネアの方が討伐回数が多かったりします。
なので凶師討伐ならまかせとけ!と、彼女は図書委員に叫びました。
その叫びを受けた彼女は手を叩いて
「まあ!それは心強いです!」
「でしょ?まかせといてよ」
可愛くウインクを決めた彼女に、図書委員はその凶師の名前と種族名を書いたメモを渡しました。
「じゃあ近いうちによろしくお願いします」
「引き受けたわ。ミンティー、そろそろ帰るわよー」
「はーい」
きびすを返して図書室から出るトルネアの後ろを、古ぼけた本を抱えているミンティーがついて行きます。
図書委員は、彼女が抱えている本を見て
「あれ・・・?あの本、どこかで見たような・・・」
小さく呟きました。
一年×組の凶室。ミンティーは先程手に入れた古ぼけた本を開けようと奮闘していました。
「うーん・・・おかしいなぁ・・・」
「どうしたの?」
悩む彼女に優しく声をかけてきたのはトルネアです。ミンティーはトルネアに本を見せると
「さっき図書室で貰った本なんだけどね、鍵がかかっててどうしても開かないの」
「・・・何でわざわざ鍵つきの本を貰ってきたのよ」
半分呆れつつ、トルネアは本を受け取るとそれの上下左右をじろじろと眺めます。