ディスガイア小説
□毛虫の金太郎
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邪悪学園にも夏休みだって来ます。来なきゃおかしい。
終業式の日、凶師がろくに来ないので、来てもタユマに倒されるのが落ちなのですがまあそれはさておき、来ないので通知簿なんて持たないまま、トルネア、あやめ、ミンティー、ニトは廊下を歩いていました。
ちなみにこの三人は全員寮で生活しています。トルネアとあやめは相部屋で、二トとミンティーは一人部屋です。
「いよいよ夏休みだねー」
もっともらしい言葉をトルネアは口にしました。
「二トは夏休みは何するアルか?」
「僕は学園から出て当分盗み三昧かな〜。盗賊としての腕も磨かれる大事な時期なんだよ、夏休みって」
「そーアルか、で、その間は愛しのソネリーに会えなくて寂しい・・・と」
「なっ!?何でアイツが出てくるの!?」
「あー、赤くなっちゃって〜ニトってば可愛い」
ニヤニヤしながらトルネアが言った瞬間
「確かにニトも可愛い。だがトルネア、君の方がそれ以上に可愛いぜ。アタイが保障する」
何てこと言いながら、背中からトルネアに抱きつき、ソネリーは言いました。一体どこから出てきたのでしょうか
次の瞬間、トルネアは素早く彼女を背中からはがすと
「鬱陶しいんじゃボケぇ!!」
絶叫してストレートパンチ一発。ソネリーは壁を突き破り、一瞬で星になりました。その迫力に、ミンティーは思わず拍手喝采を送りました。
「トルネアすごーい。でもぼーりょくはいけないよ?」
「何言ってるのよミンティー。これはれっきとした正当防衛。そう、正当防衛なのよ」
「ふえー、そうなんだー」
トルネアの言葉をあっさり飲み込んだミンティーは、うんうん頷き納得しました。彼女の将来が心配です。
「そういえば、ミンティーは夏休みはどうするアルか?やっぱり実家に帰るアルか?」
星になったソネリーのことなんて一万光年彼方に置いたあやめは、ミンティーに夏休みの予定を聞きました。
質問を受けたミンティーは苦笑いを浮かべて
「ううん。私は夏休み中はずっと寮で宿題やってる」
何とも面白みのない答えを出しました。これには三人は驚きます。
「宿題?何で宿題なんてやるの?めんどくさいだけじゃん」
「ミンティーは天使だから真面目に宿題するアルかー偉いアルねー」
「てゆーか宿題あったのね。初めて知ったわ」
あ、そっち?ミンティーが実家に帰らないことには驚かないようです。
しかしミンティー本人も、尋ねられてないのなら答えなくては良いと思ったのか、その事にはツッコまず
「うん。だって宿題ってちゃんとやらなくちゃいけないんでしょ?人として」
「お前人じゃなくて天使アルよ」
冷静なあやめのツッコミ。すると突然トルネアが両手を叩き
「そうだわ!ねえミンティー。もしよかったら夏休み中は私達の実家に来ない?ホームステイしない?」
「ほーむすてい?どうして?」
「だってまだアナタは魔界の生活に全く慣れてないでしょ?だったら私達の実家に住んで、悪魔の生活に慣れ親しめば、もっと魔界ライフを楽しめるわ」
ちなみにトルネアは実家と言っても、自分の師匠と共同生活してる小さい小屋に住んでいるので、実際の実家ではありません。でも実家で通します。
「私達一週間後から夏休みが終わるまでずっと実家で過ごすことにしてるの、ねっ?そうしましょ?」
「うん!そうする!」
トルネアの提案に、ミンティーは即座に返答しました。よく考えるという言葉を知らないのでしょうか彼女。
「へーホームステイなんて面白そうなことするんだね。でも達って何?」
「私とあやめのことだけど」
「あー・・・」
納得したニトが頷こうとした瞬間、彼女は教室と廊下を隔てる壁が無残に破壊されている光景を発見。よく見るとそれの名残なのか、床には窓ガラスの破片が散らばっています。