ディスガイア小説

□雨の日のホルルト村
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六月。世間では六月をジューンブライドとか言うそうです。作者には一生縁がない言葉っぽいです。

午後が始まったばかりの時刻、外では雨がザーザーと音を立てて降っていました。

「雨、やみませんねー」

「そうじゃのう・・・」

窓の外を見て、タローとロザリーは心底つまらなそうに呟きました。こんなに雨が大量に、まるで俗に言うバケツをひっくり返したような雨では、外で遊ぶなんて無理です。

「こんなに雨が降ってるのに弟子達は皆留守かよ・・・」

悪魔が考えることは全くわからん。と言いたそうな表情を浮かべるアデルですが、アンタも悪魔でしょうが

未成年の若者達が、非常にのんびりと時間を過ごしていると

「あ!アデルちゃん。ちょっといい?」

突然ママさん登場。軽く手招きをしてアデルを呼びます。

「何だ?」

軽くアデルが返事をすると、ママさんは彼に近づき、どこからか赤色の道具入れをアデルの手に握らせると

「ちょっと屋根の修理してきてくれない?二階が雨漏りしちゃって困ってるのよ〜」

「・・・別にいいけど、こうやって道具箱を持たされている時点で俺に否定権というものは・・・」

「ないわよ」

どきっぱり

「・・・人間に戻っても、あんまり変わらないんだな・・・」

アデルは小さく呟くと、空いている手で額を押さえました。頭痛でもするのでしょうか





アデルはママさんから持たされた道具入れと、雨に濡れないように持参してきた傘を持ち、二階から屋根の上にあがりました。

雨はまだまだザーザーと音を立てて降っています。しかも風がちょっぴり強いです。台風でもきたのでしょうか

「とっとと終わらすか」

傘を肩に乗せ、それの下でアデルは早速作業開始。


とんてんかんかん


終わりました。早いです。こういう時小説って便利です。

「よし、こんな所だろ」

作業を終わらせ、満足そうな笑顔を見せて、アデルはその場で立ち上がります。そして、気づきます。

「何じゃこりゃあ!」

朝から降り続ける雨によって、いつの間にか水位が屋根の近くまで上がってきていたのです。いくら洪水量が多いからといっても、これはちょっとやりすぎです。ここは盆地でしたっけ?

「これは・・・ヤバイな・・・」

家に帰るには一旦地上に降りてドアから入るか、二階の窓から入るかしか方法がありません。しかし、ドアも二階の窓も水に浸かってしまっているので、帰るに帰れません。

「仕方がない、水位が引くのをひたすら待つか・・・」

ここはじたばたせず、大人しく待つことにしたアデルですが、おっと、ここで強風が

「うおぉ!?すごい風だなぁ!」

自然の力は凄まじいなぁと、アデルは内心のんびりと感心していると、その風に乗ってこちらに来るある馬鹿の姿が見えるではありませんか

「むっ?」

よーく目を凝らしてみてみると、ソイツは

「いやっほぉー!ダークヒーローは空を飛ぶー!」

皆が知ってるダークヒーロー。自称アデルの永遠のライバル、アクターレでした。彼は背中にグライダーをつけて、風に乗って楽しそうに空の旅を満喫しています。ただ単に風に流されているようにも見えますが、気のせいでしょう。

「・・・・・・」

一体アイツはこんな日に何してんだ?アデル絶句。ですが即効でコイツと関わるべきではないと判断したので、そのまま無視しようと彼から視線を反らした瞬間でした。

「おっと!あれは俺の永遠のライバルアデルじゃないか!よっしゃあ!このアクターレ様が空の上からお前を倒して全世界に俺様のかっこよさをアピールしてやるぜ!」

気づかれた。絶対に見つかりたくないと思っていたのに。まあ向こうは空の上にいるので仕方ないといえば仕方ないのですが

「今行くぜ!」

アクターレ。起動を変えてアデルの方まで突っ込んできました。見事に風に乗っています。

「げ」

これは逃げるか回避する方がいい。アデルが直感でそう思ったのもつかの間、再びここで強風。

「おお!スピードアップ!」

「げげっ!」

急激に加速したアクターレのスピードを見切ることができなかったアデルは、彼の背中についているグライダーに腹部から激突。

「ぐはっ!」

そのまま軽く吹っ飛ばされ、彼は屋根から落ちてしまいました。そして水の中へ
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