ディスガイア小説
□自称超絶最強美少女大魔王ハンナちゃんの一日
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魔王城の裏、そこには直径約十メートルのクレーターが出来ていました。
「うわぁ・・・また派手にやってくれたなぁ・・・」
その有様に唖然とするソウタですが、ハンナはどことなく楽しそうな雰囲気です。
「宇宙人でも攻めて来たのかな?」
無邪気な発想ですが、いくら物好きな宇宙人でも、こんな魔界には攻めてこないだろう・・・ソウタはそう思いました。
「しっかし、何が落ちてきたんだ?きっとさっきの光と何らかの関係があるのは間違いないと思うけど」
「うーん・・・難しい謎だなぁ・・・んん?」
悩むハンナは、クレーター上に何かを発見しました。
「どうした、ハンナ」
「あれ見て」
ハンナが指すした場所は、クレーターの中央でした。そこには人影があります。
「んん?」
よーく目を凝らしてそれを見てみると・・・・・・なんと、クレーターの中心にいたのは、悪魔ではなく
「・・・天使兵?」
下級天使兵でした。天使兵がクレーターの中心に倒れていたのです。それも眠っているように
まさか天使が魔界に落ちてくるなんて・・・天界に住む天使達は、悪魔に対する偏見が多く、大天使を悩ませるほどの問題になっているので、余程の物好きか、上からの命令でない限り、天使が魔界に来るなんてほとんどありえません。約一名愛マニア天使は除きますが
「・・・・・・ソウタ、ちょっとあの子の様子見てきて」
仮魔王ハンナ様の命令。ただのスペース戦士のソウタは逆らいたくても逆らえません。
「たっく、仕方ないな」
渋々承諾すると、ソウタはクレーターの中心に倒れている天使兵に近づきます。
「・・・・・・」
少し息をしているので、とりあえず生きているようです。ソウタは彼女の顔の近くで手をパタパタ振りますが、大した反応はありません。次に頬を指で突いて見ますが反応ゼロ。
そこでソウタが出した結論は
「コイツ・・・もしかして落ちた衝撃で気絶してるんじゃ・・・」
「何か言ったー?」
大声を出して尋ねるハンナ。ですがソウタはそれに答える前に、倒れている天使兵を抱き上げると
「ハンナ、コイツ多分気絶してると思うからひとまず魔界病院に連れて行ったほうが良い」
とても冷静に言いました。その判断に、ハンナは文句の付け所がないので
「そうね、そのまま天界に強制送還するのも角が立つし。一回病院で治療してもらってから話を聞くのが一番ね」
魔王城内にある魔界病院。怪我をした悪魔が来る場所なのですが、治療するのは体の傷だけで、心の傷は全く癒せない病院。
天使兵は病室の個室のベッドの上に寝かされていました。彼女が魔王城の裏にクレーターを作ってから、およそ三時間が経過しますが、一向に目覚める気配がありません。
がちゃり、今部屋に一人の悪魔が入ってきました。それは怪しい悪魔なんかではなく、リエルという悪魔の癖に悪魔らしくない心優しく可愛い悪魔でした。
「まだ起きてませんかー?」
入ってくるや否やそんなセリフ。ハンナが聞いたら「リエルちゃん可愛い!」と言って飛びつきそうですが、今現在彼女は自分の仕事をソウタに押し付ける作業で忙しいのです。
返事が無いのでリエルは肩を落とし
「まだ起きてないみたいですね・・・」
そう言って部屋を後にしようとすると
ぱちっ。突然天使兵の目が開き、むくりと起き上がりました。
「わっ!」
あまりにも唐突過ぎる展開に、リエルびっくり。一瞬尻餅をつきそうになりました。
天使兵は、そんなリエルのことなんて気にも留めず、キョロキョロと周りを見回して
「ここ・・・どこ?」
呟くようにそう言いました。
それに答えるのは尻餅をつきそうになったリエルです。彼女は天使兵が目を覚ましたのを見ると、どこか嬉しそうにベッドに近寄って
「気がつきました?痛いところとかありませんか?あったら遠慮なく言ってください!」
「え?あ・・・はぁ・・・・・・ん?あなた悪魔ですか?」
唖然とする天使兵ですが、リエルが悪魔だということに気づき、驚いた様子で尋ねます。
「はい。そうですけど?」
あっさりとリエルが答えると
「本当!?私魔界に来れたってこと!?」
「まあ・・・そうなりますね」
「・・・・・・」
ここで黙る天使兵ですが、どこか嬉しそうな表情をしているので、言葉に出来ないぐらいの喜びをかみ締めているのでしょう。きっと