ディスガイア小説
□お留守番弟子ズ
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さて、掃除は終わったことですし、お次の仕事はなんでしょうか
「丁度陛下がやってもやり切れそうにない程の仕事を置いて行っちゃったんだよね」
ピカピカ玉座に腰を下ろしているハンナは、隣に置いてある書類の山を見上げました。
一同はこの書類の山々を見上げました。その山は天井につくほどまでとはいかないものの、絶対に一日では終わりそうもない量でした。
「陛下・・・サボりすぎだろ・・・」
ソウタはそれを見上げつつ、ここまで仕事を溜めた、というかサボったラハール(上司)にツッコミをいれたくなりました。流石にこれは溜めすぎだろうと
「でもこれだけやるのはしんどいし・・・てかめんどくさいから」
そこまで呟いたハンナは、ゆっくりと視線をソウタの方へ向けて
「後は頼んだ!」
「断る」
仕事を押し付けられそうなソウタは即答で言いましたが、ハンナはニヤリと笑い
「フッ・・・残念だけどアンタはアタシに逆らうことはできない」
「はぁ?何言ってんだお前は」
「アタシの称号をよーく見てみな!」
「お前の称号って・・・確かスペース戦士・・・」
疑問に思いつつ、ソウタはハンナの称号を見てみると
「ってアレ?スペース戦士じゃなくて“魔王(仮)”になってる!何で!?」
まさかの称号変化にソウタは驚きを隠せません、しかも今まで聞いたこともない称号名なので、驚きも二倍です。
「そう!陛下が不在の今!この魔界で一番エロじゃなくて偉いのはこのアタシ!だから陛下が帰ってくるまでアタシは魔王としてこの世界に君臨することができるってさっきも言ったじゃん!アンタ人の話聞いてなかった?」
「あれ・・・自称じゃなかったんだ・・・」
ソウタは呆れながら呟くように言いました。そして理解しました、彼女が魔王(仮)だから、魔王ってことは上司だから、ただのスペース戦士の自分は逆らうことができないと
「お前・・・そういうのを独裁って言うんだぞ」
「いいの!アタシは魔王だから!仮だけど魔王だから!」
「いや、全然よくないからな!」
「ハイハイ、文句言わない言わない。逆らっちゃうとアンタ死刑だから、分かってる?」
「俺殺されるの!?」
「死にたくなかったら陛下が溜めた仕事の山を片付けること、今日中にとは言わないから」
言葉の最後に小さな優しさがあることを言ったハンナですが
「言わないから今日中に半分以上終わらしな」
やっぱ鬼だ。
こうなってしまった以上、ハンナに逆らえなくなったソウタは、彼女の命令を聞き入れることを決めました。
「何て女だ・・・絶対ああいうのを世界の支配者にしちゃいけないんだ・・・陛下も十分酷いかあの女もかなり酷い・・・」
ブツブツ言いながら、山のような数の書類の一部を運ぼうとしていると
「あ、ソウタ君。私も手伝います〜」
「リエル・・・」
悪魔でありながらどっかの暴走天使以上の優しさでソウタに手を貸そうとするリエルを見て、彼は一瞬泣きそうになりました。感動の涙が出そうになりました。が
「えー、リエルちゃん連れてくのー?アタシ達のアイドルリエルちゃん連れてっちゃうのー?」
玉座に座っているこの職権乱用という言葉が似合いそうな女から不満だらけの言葉が飛び出してきました。
「でもハンナさん。流石にこの量を一人でするのは無理だと思いますが・・・」
「あー・・・うーん・・・じゃあ物のついでにロロスも連れて行って良いよ」
「え!?ウチ!?」
まさかご指名されるなんて思ってなかったロロスは、驚きの声を上げました。
「ほう、ロロスも一緒にこの仕事をしてくれるのか・・・」
「はっ!そ、ソウタ・・・?あんさん、全国の男戦士ファンが泣き出しそうなほど酷い顔してるで・・・?」
「そんなことはどうでもいい、それにこれは小説だから俺がどんな顔しようが全国に流れることはないから問題ない」
「ひえー!八つ当たりなんて大人気ないやん!」
「知るか!お前も来い!」
「ギャー!!」
ソウタはロロスの首の襟を掴むと、そのままズルズルと引きずって行ってしまいました。リエルは慌てて後を追います。
大量の書類は、城に残っていた僅かなプリニー達に持って行かせることにしました。
広間から、三人の姿が消えると、ハンナは次の仕事にとりかかります。
「じゃあ次。陛下のワガママに耐え切れず出て行った家来達を連れ戻す作業。牡丹、用意して」
「はーい」
ハンナが命令すると、牡丹はどこからかノートパソコンを取り出しました。