ディスガイア小説
□悪魔的運動会
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注:この話はまだ天魅、ユイカ、ミーシャ、フラランがいない時、つまりは偽ゼノンを倒す前の話です。
それはまだ冬の寒さが身にしみる日のこと
ホホルト村のアデルの家の前に、木製できた小さな台があり、その台にはラウトが乗っています。彼の手には武器の斧ではなくメガホンがあり、いつものハチマキきはなぜか「勝利は俺の中にある!」と達筆で書かれていました。
そんないつもと少し違う格好のラウトはメガホンを口元へ持っていき、叫び始めます。
「本日は寒い中集まってもらって感謝するぜ!」
「いや、昨日“朝の八時にアデルさんの家に集合な!”ってしつこく言われたから来ただけだぞ」
リアスが冷静にツッコミを入れました。
「そんかちっぽけなことばっか気にしてたら強くなれないぞー」
「元からあんまり強くないお前に言われたくない」
そうですね。
「それより、何のようで私達をこんな寒い朝に呼び出したのよ」
毛皮のコートを着て暖かそうにしているアリナは、台の上にいるラウトに文句をつけるように言いました。
その言葉によってラウトのテンションは右上に急上昇。
「よくぞ聞いてくれましたぁ!今から俺、ラウト主催の“ドキッ☆なんか悪魔っぽいZE大運動会”を始めるぞー!・・・って帰るなー!」
タイトルを聞いた瞬間すぐに嫌気がさしたのか、全員踵を返してゾロゾロと移動開始。そこでラウトはどんな悪魔でも帰って来る魔法の言葉を使います。
「優勝チームには豪華な賞品をプレゼントだ!」
この言葉により約三秒弱で全員戻ってきました。悪魔って単純ですね。
こうして無事に始まった「ドキッ☆(長いので以下略)」は、まずチーム分けから始まりました。
白組
・アリナ
・サレイア
・サラ
・エーゼル
・天里
・ロザリンド
・タロー
・雪丸
赤組
・リアス
・ヤイナ
・ネアン
・リンリン
・アデル
・ハナコ
・ティンク
・エトナ
こうなりました。
「何で僕と姫様が一緒じゃないんですかー!?」
「落ち着けティンク。クジで決めたのじゃから仕方なかろう」
早速不満の声がティンクからあがりましたがロザリー以外の人は無視しました。かまっているほど暇じゃないそうですが、こんな行事に参加している所でもう暇人決定ですがまあいいでしょう。
「お、別々だな」
「そうね」
そんな会話を交わすのはリアスとアリナです。そこへヤイナがやってきて
「師匠ー!アタシ達同じチームだよな!一緒にがんばろうな!」
ばしばしと馴れ馴れしくリアスの肩を叩きます。まあそこで怒る程彼女あ子供じゃないのであえて黙っています。
次にネアンが
「あーリアスと一緒だーがんばろー」
緊張感ゼロののんびりとした口調で言い、最後にリンリンが
「私、足を引っ張られるのは嫌いなので」
さり気なく自分の邪魔をするなと忠告しました。
このメンツを見たリアスは
「(心配だ・・・このメンツはかなり心配だ・・・!)」
そう思い頭を抱えるのでした。その気持ち、解らないことはないですよ。
「では、チームが決まったところで早速はじめるぞ!」
台上のラウト(手にはメガホン)は高々と叫びました。
「まず第一回戦!玉入れだぁ!」
今にも空高く飛び上がりそうな勢いのラウトは、うっとうしい程暑苦しいです。このまま冬の寒い寒い気温を吹っ飛ばしてくれたらありがたいのですが、さすがに無理か
ワーワーと周囲にいるギャラリー達が盛り上がる中、玉入れなんて知らないロザリーは、近くにいるタローに問います。
「のうタロー、ラウトの言う“たまいれ”とは一体何じゃ?」
箱入り娘の彼女はこんな競技知らなくて当たり前といえば当たり前ですね。尋ねられたタローはニッコリ笑顔で答えます。
「玉入れって言うのは、地面に落ちてる玉を拾って、高いところにあるカゴに投げて入れる競技のことですー」
「ほう・・・下々の者はこんな競技で楽しむのか・・・」
うんうんと納得するロザリーですが、世の中はそんなに甘くなかったりします。
「今回の玉入れはただの玉入れなんかじゃないぞ!全員参加の悪魔的玉入れ!その名も“人入れ”だ―――!!」
『えぇ―――――――――!?』
全く馴染みのない新しい単語に、一同は驚きの声を上げますが、ラウトは皆がいい感じにリアクションしてくれたのが嬉しかったらしく、元々基本値が高いテンションをさらに上げて説明開始。