日本一小説

□私はジャーナリスト
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「えっ!?あっ!嘘っ!?私別にスパイとかそんなんじゃないですって!ただ取材しに来ただけなんですって!この国に敵意とか持ってませんって!!」

「ソーンダイク様、コイツ何か言ってますけど」

「無視しておけ。私は喰世王にこの事を報告しに行く」

ソーンダイクは捕まって暴れるソーニャをゴミを見るような目で見て、そのまま門の向こうへと消えて行きました。途中「今は喰世王は小腹が空いていて機嫌が悪いというのに・・・」と誰にも聞こえないぐらい小さな声で愚痴りながら

「何でよー!どうして取材しに来たって言っただけでこんな酷い目に遭うのよー!あっ!はやぶさ!はやぶさー!」

ソーニャはそのままはやぶさと引き離され、城内へと連れて行かれました。ただし、ソーンダイクとは別の場所に





城の地下牢。ローソクの光しかこの場を照らす物が存在しないこの場所に、ソーニャは一人閉じ込められていました。

「取材しに来ただけなのに取材しに来ただけなのに取材しに来ただけなのに取材しに来ただけなのに・・・」

鉄こうじをつかみ瞳に涙をためつつ彼女は呪いの言葉を唱えるように口走っていました。

「はやぶさとははぐれちゃったし、取材用のメモや護身用の武器や道具が入ったカバンは取られちゃうし・・・お腹は空いたしいきなり閉じ込められちゃったし・・・こんなことなら行くんじゃなかった・・・。お父さんや編集長の言う事を素直に聞いておけばよかった・・・」

己の無謀さを改めて理解した彼女が後悔の言葉を口にし、父と編集長の言葉のありがたさを感じるのと同時に、地下牢に足音が響き渡ってきました。

「ん?」

その音は自然に彼女の耳に入り、心がボロボロになってる状況のジャーナリストに疑問と不安を植えつけます。

「なっ何?私、何されるの・・・?」

ガタガタと震えているうちに、足音は次第に大きくなっていき、それにつれて彼女の不安と恐怖は増えていきます。ついでに疑問も

「あっ・・・あわわわわ・・・」

嗚呼、お父さんお母さん、編集長に先輩に同僚にはやぶさ・・・今までありがとう。私、ソーニャは一足先に天へ昇ります・・・。

己の死を覚悟し彼女が人生の思い出を脳内に映し出していた時、鉄こうじの向こう側に現れたのは片手にランプを持ち、冷ややかな目つきで自分を見下す少女でした。

「ソーンダイクが侵入者を捕らえたって言うからわざわざ見に来たのに・・・ただの罠氏じゃ暇つぶしにもなりそうにない」

年は自分とあまりかわらない十七歳ぐらいで背中には黒い剣を背負っている赤い髪と瞳を持つ少女は、ソーニャを見るなり言いました。

「・・・・・・・・・」

もっとおっかないものを想像していたソーニャは目の前に現れた、自分とほとんど年も変わらない少女を見て唖然としてしまいました。すると

「だから言ったろ?どーせ大したモンじゃねぇって」

「!?」

目の前の少女のモノではない男の声にソーニャはびっくり仰天。思わず目を丸くしてキョロキョロと周囲を見回してしまいました。

彼女の心中をすぐに悟った少女はその反応が多少面白いと思ったのか、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべて

「今の声は君たち一般人が言う“死神”の声だよ。ビビったでしょ」

「えっ死神?」

目を見開くソーニャは思い出します。喰世王は死神を体内に宿していて、実はその死神に操られているとかなんとか・・・。つまりは

「えっ・・・えっ・・・えええええ!?もしかして、アナタが喰世王!?私と全っ然年変わらないのに!?」

驚きのあまりかソーニャは後ずさり、壁に思いっきり後頭部を打ち付けてしまいました。ごつん

「お、良い音」

「ほーう、どうやらまだ俺たちの顔を知らねぇ奴がいたようだな」

少女というか、喰世王と死神がそれぞれ思った事を呟きました。

ソーニャは金魚のように口をパクパクさせながら

「だ・・・だって私・・・はるか遠方の国から来たから喰世王の姿形なんて噂ぐらいしか聞いてなかったし・・・てか、アナタ本当に喰世王?」

「疑うならいっそその身で体験してみる?」

喰世王は冷たく聞き方によっては勘違いしてしまうような台詞を言うと、漆黒に輝く剣を抜き、その刃をソーニャへと向けました。

「けっ、こっけけけけけけ結構です!もう疑っておりません!決して!」

身の危険を一瞬で感じ取った彼女は即座に土下座して、喰世王の誘いを断りました。

「(ニワトリ?)なーんだ。つまんない」

全否定する彼女の言葉を素直に受け取り、喰世王は心底つまらなそうに剣をさやに収めました。

九死に一生を得た彼女はホッと一息つき、ふと考えます。

「(まさかこんな私と年が変わらない女の子があの喰世王だったなんて・・・これは前代未聞の大スクープよ!早く帰って記事を書かなきゃ・・・はっ!)」

そこまで考えて、あることに気付いたところで目を見開き、今すぐ帰ろうとしている喰世王に恐る恐る近づいて尋ねます。
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