日本一小説

□私はジャーナリスト
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私は某国のジャーナリスト、罠士のソーニャ。今日はあの喰世王が治めている・・・というか支配しているまぶたち帝国(漢字が当て字過ぎて意味が解らない)に乗り込み、知られざる奴の実態を取材しようと思うの!

もちろん「危険だ!やめておいた方がいい!」って上司や同僚はもちろん、家族にまで言われたけど・・・危険だって言われただけで取材を断念するなんてジャーナリストの名が泣くわ!

皆の言葉もろくに聞かず、私は友であり家族である相棒はやぶさ(グリフォン)に乗って、まぶたち帝国に向かって行った。取材するために

あの国の全てを、全人類に伝えるために・・・。





「元オウビスカ国であったその国は、数週間前に死神(後の喰世王)を倒そうと試みたが見事に失敗。その後怒った喰世王があーんなことやこーんなことをした挙げ句、帝国は完成した・・・」

帝国の入り口付近、ソーニャは事前に集めておいた情報が書かれたメモ帳をカバンの中にしまうと、メガネをくいっと上げて

「これ以上の情報はほとんど無し。事実がどうかもわからない情報も多数ある・・・と」

帝国の入り口を見つめ、彼女は静かに言うとはやぶさが心配そうに彼女を見つめます。

彼の視線に気付いたのか、ソーニャははやぶさに小さく微笑むと

「心配しなくても大丈夫よはやぶさ。いくら喰世王が残酷で外道な人でも、敵でも見方でもない第三者であるジャーナリストを即死刑って真似はしないでしょ。友好的な態度をとっておけば大丈夫よ」

本当?と言いたそうに、はやぶさは可愛らしく首を傾けます。巨体なので大分似合ってませんが

「本当よ。何も怖くないし恐れることもないわ。喰世王が怖くてジャーナリストなんてやってられないわ!」

拳を握り、気合の炎を燃やす彼女の姿はまさに情報を伝えることを生きがいとするジャーナリストの姿そのものでした。

「さあ行くわよはやぶさ!ジャーナリスト魂を喰世王に見せ付けるのよ!」

そう叫んで気合十分の彼女は駆け出しました。それにはやぶさもあわてて続きます。

ですか彼女はこの時、自分があんな悲惨な運命をたどることになるなんて、思ってもいませんでした。





帝国門前、ソーニャは誰もいない門の前に立っていました。後ろにははやぶさもいます。

「ここまでは何の苦も無く来れたけど・・・どう言って入ろうかしら」

てっきり地雷とか落とし穴とかスイッチを踏むと無数の矢が飛んで来るトラップが来るのかと思っていた彼女は、手を顎に当てて彼女は真剣に考え始めます。

「やっぱ“ジャーナリストです!取材させてください!”って正当方で行ってみようかな・・・それとも“アナタ様の偉大さと強さを是非取材したいのですが・・・”っておだてながら言った方がいいかしら・・・うーむ・・・」

腕を組んで悩むソーニャを見つめるはやぶさが、人間だったら苦笑いしてそうな表情を浮かべていると

「貴様、そんな所でなにをしている」

「はひゃっ!」

突然誰かに声をかけられ、彼女は思わず人間が使うには少し珍しい悲鳴を上げてしまいました。

恐る恐る声をかけてきた人物に視線を送ると、見えてきたのは思い甲冑に身を包んでいる男でした。大体三十代ぐらい。

甲冑の男はソーニャとはやぶさを睨んで言います。

「見慣れぬ顔だが・・・そうか、この城に攻め入るために情報を入手しにきたどこぞかの国のスパイ・・・か」

「えええ!出会って一分も経ってないのに理不尽な扱いされた!」

出会いがしらいきなり濡れ衣をきせられたソーニャは大変驚き、すぐに首と手をバタバタと振って弁解します。

「ち、違いますよ!私はただのジャーナリスト、この帝国の知られざる実態を全国各地の人々に伝えるため、はるか遠方からやってきた一般人です!」

「ほう」

男は小さくうなりますが、その表情は彼女の言葉を全く信じていない様子が読み取れました。

「あっ!でも安心してください。取材されたら困る所には一切触れませんし、無理に暴こうともしません!プライバシーもちゃんと守りますよ!」

「むう」

「だから!まぶたち帝国を取材させてください!お願いします!」

ぺこりと頭を下げソーニャは一生懸命訴えました。はやぶさもそれに合わせて頭を下げます。

人間必死に下手に出れば許してもらえるものよ・・・。腹黒い考えが彼女の脳をよぎると

「ソーンダイク様!どうかなさいましたか?」

騒ぎを聞きつけたのか門の横の扉から兵士が数人出てきました。

ソーンダイクと呼ばれた甲冑の男は冷ややかな顔つきで、ソーニャとはやぶさを指して兵士に言い渡します。

「侵入者だ。捕らえておけ」

『はっ!』

「え゛」

命令された兵士たちはビシッと敬礼した後、唖然とするソーニャとはやぶさをあざやかな手つきとチームプレイで捕らえ始めます。
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