日本一小説

□旅の始めはスパイシー
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「結局腹減りかよ」

酷く呆れた様子のギグが呟くと、ダネットは無言でリベアの頭部を叩きました。結構全力で

「痛い!酷い!」

とっさに顔を上げるリベアにダネットは

「酷くも何にもありません!私だってお腹ペコペコなんですよ!それなのに、私を差し置いて勝手に倒れるなんて自己中心にも程があります!」

そう叫んで彼女に渇を入れ始めました。

「私だって、今この場に倒れて空腹を訴えたいぐらいお腹がペコペコなのです!それなのにお前と来たら・・・!」

「ダネット・・・」

申し訳そうな顔をするリベアと「コイツも少しいはまともな事を言うんだな」と内心関心するギグ。

「お前がこのまま倒れることを続行するのなら、こっちにだって考えがあります!」

ダネットはそう言うと、地面に寝転がって

「私も空腹で倒れます!」

青空に向けて絶叫しました。

「それは何の解決にもならねえよ!!」

森の木々が揺れる程の大声でギグはツッコミを入れました。小鳥達が驚いて羽ばたいていきました。

しかし、少女達は全く動じずに

「何だ、ダネットが空腹で倒れるのなら私は申し訳ない気分にならなくてもいいんだ」

「そうです。このまま食べ物が見つかるまでこうして倒れておきましょう」

「そうね」

「・・・・・・」

自分のペースをどこまでも通す二人を目の当たりにして、ギグは自分をこんな奴と融合させたレナ(後のベルビウス)を心底恨みました。

そして思います。もし、こんな状況で敵に襲われたりしたら、抵抗する暇も無く殺されてしまうのではないかと

「おいおい・・・こんな間抜けな理由で折角手に入れかけた体失うことになんのかよ・・・」

「ギグ?何か言った?」

「別に・・・」

そう呟いた時、近くの草むらからガサガサと音が

「?」

何だろう。そう思ったリベアが音のした方向に視線を向けると

「ぐるるるるる・・・」

そこには通りすがりのファンクスが三頭程、自分の縄張りに入って倒れているリベアとダネットに威嚇していました。よく見るとそのうちの一体がよだれをたらしています。お腹が空いたのでしょうか。

リベアは静かに驚き、手足をバタバタさせて空腹を訴えているダネットに

「ダネット・・・これが俗に言う死亡フラグってやつなんだね・・・」

「え?どうしたのですか?」

手足をバタつかせるのをやめ、ダネットが尋ねるとリベアは腕を上げてファンクス三頭を指しました。

「あー・・・、確かにこれは俗に言う志望フラグですね」

「でしょ?さーてどうしたものか・・・」

「焦ろよ!!」

ここでギグの絶叫。

「今時の人間って皆こうなのか!?普通こんな状況になったら誰だって焦るだろ!つーかバカセプー!志望じゃなくて死亡フラグだ!漢字間違えてんじゃねえよ!」

「相変わらず失礼な奴ですね。というか、何故焦っているのですか?」

「私が死ぬとギグは復活できなくなっちゃうから焦ってるんだよねー」

あっはっはー大変だー、と完全他人事のようなリベアですが、実際他人事に出来ません。アンタも死ぬって

「相棒!お前も相当な馬鹿なのか!?それとも空腹で冷静な判断力を失ったか!」

そこまで叫んで、彼はひらめきます。

「・・・おい相棒」

「何?」

「お前、今相当腹減ってんだよなぁ・・・」

「そうだけど」

とてもそうとは思えないほど元気そうなリベアですが、それはさておき

「旅人が食糧不足にならないために何やってるか知ってるか?」

「何々!?」

「野生動物を捕まえて食料にするんだよ」

ギグがそう言い放った瞬間、リベアは即効で立ち上がり、鞘から剣を取り出すと

「殺神遊戯ぃ!!」

光のような速さで動き、ファンクス三頭に殺神遊戯をぶちかました。

ファンクス達は抵抗する暇も無く、彼女の剣のさびになったのでした・・・
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