日本一小説

□思い出はタイムカプセル
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それはダネットのほんのささいな一言で始まったりします。

「そういえば昔、タイムカプセルとか埋めましたね」

「・・・・・・」

露骨にキョトンとするリベアは、タイムカプセルって何だっけ?と言いたそうな表情を浮かべています。どう見ても忘れています。

「忘れちゃったんですか?お前と私がこの里に来てしばらく経った時に未来の自分へって手紙を書いたじゃないですか」

「・・・ああ!」

ポンと手を叩くリベア。やっと思い出したようです。



回想始め。約十年ほど前、リベアはおやつのホタポタを食べているダネットに突然言い出します。

「ダネット!タイムカプセル埋めようよ!」

「たいむかぷせる?それってなんですか?美味しいのですか?」

生まれて始めて聞く単語に、首をかしげるダネット。聞いたことの無い単語を食べ物なのかと思って「それって美味しいの?」と解釈してしまう・・・おとぼけの代名詞ですね。

「食べ物じゃないよ。この前本で読んで知ったんだけどね、未来の自分に手紙を書くの、そしてそれをどこかに埋めて、何年か経ったら掘り返して手紙を読むの。面白そうでしょ?」

「へー面白そうですね!やりましょう!」

すぐに賛成したダネットはホタポタを一気に食べ終えると、すぐに走り出し手紙と封筒をそれぞれ二枚ずつ持ってきました。大体三十秒ぐらい。

「相変わらず早いね」

「えへんです。それじゃあ早速未来の自分に向けてお手紙を書きましょう!何て書きます?」

「内緒」

ちょっぴりお茶目に答えたリベアは、隣にいるダネットに手紙の内容を見られないようにこっそりと手紙を書き始めました。未来の自分宛の手紙を・・・



回想終了。

「あー私が言い出したんだ・・・すっかり忘れてた」

言いだしっぺの自分がきれいさっぱり忘れて、ただ付き合っただけのダネットが忘れてないなんて・・・ある意味ショックです。

しかしダネットはそんな彼女の気も知れず

「いいじゃないですか、ここ最近大変だったんですし、忘れていても仕方ありませんよ」

「・・・・・・」

今、リベアの中に無限の敗北感が芽生えました。理由は大体わかっています。でも決して口には出しません。

「ん?どうかしたのですか?」

「何でもない・・・うん、何でもないよ」

「そうですか、では早速タイムカプセルを掘り出しに行きましょう!」

やけに張り切っているダネット。恐らく小さい頃に書いた手紙を読むのが楽しみで楽しみで仕方ないのでしょう。彼女の目はどこぞのトレジャーハンターのように光り輝いていました。

「やけに張り切ってるな、ダネットの奴」

「そうだねー。ギグは来る?タイムカプセル発掘」

「却下。何で俺がそんなつまんねーことにわざわざ参加しなくちゃいけねーんだよ」

全く興味のない行事に付き合わされてたまるかと、実は冒頭からいたギグはきびすを返して立ち去ろうとしますが

「あ!そういえばタイムカプセルを埋めるとき、ベルビウス様がホタポタで試したい料理があるって言って何か一緒に埋めましたよね」

「そういえば・・・確か・・・ホタポタの皮の酢漬けだったような・・・美味しいのかな?」

「行く。てか連れてけ、連れて行かねーとぶっ殺す」

ホタポタ。という単語が出た瞬間、ギグは光の速さでUターンを繰り出し、リベアたちの下へ戻ってきました。

『(単純・・・)』

二人は同時にそう思ったそうですが、決して口に出そうとはしませんでした。





二人はどこにタイムカプセルを埋めたのか一生懸命探した挙句、三時間経過

「やっと見つけましたね・・・タイムカプセルを埋めたポイント・・・」

「誰・・・?こーゆーのはあまり目立たない場所に埋めてあるもんだろって言ったの・・・」

「・・・・・・」

ギグ、お前か

やっと見つけたタイムカプセルを生めた場所、そこは例の墓場の近くにある木の下でした。

「さて、掘り出そうか」

「そうですね」
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