過去拍手置き場

□第26話 決戦!セルパン!
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爆音がカンパニー内に響き渡ります。

社内に残っていたであろう仮眠中の社員が飛び起き「イレギュラーの襲撃だあああ!」と寝ぼけながらも逃げ出すまで一分もいらないでしょう。

使い捨てはさておき、爆風に乗ったエールはバスターを握ったまま果敢に、それに続くヴァンは爆風に流されて半べそをかきながらセルパンの部屋に飛び込んできました。

「うりゃあああああ!」

「ぎゃああああああ!」

掛け声が似て否なるのもお約束

勢いよく飛び込んできた二人の前には、爆弾を使って襲撃してきた二人を愕然と見上げるラスボスが立ち尽くしていました。状況は理解できているけど思考が追いついていない様子

『今だエール!アイツが戦闘体勢に入る前に脳天をブチ抜いてスッキリした状態でEDだ!』

「おっしゃあ!」

モデルXの欲しかない雑な助言。ヴァンがモデルZに「エールを止めろ!」と叱咤されていますが爆風に煽られているだけの彼は空中で体制を整えることができません。

唖然と立ち尽くすセルパンですが自分がやるべきことはちゃんとやります。とりあえず、その場から数歩移動

弾丸のごとく突っ込む二人はセルパンの横を勢いよく通り過ぎ、そのまま床に激突。お互い顔面から着地して愉快に床を滑っていきました。

「痛い・・・顔は乙女の命だっていうのになんてことすんのよ・・・」

「俺は心臓に悪い事はもうしたくありません・・・」

顔を抑えつつ立ち上がるロックマンモデルZXたち、セルパン奇襲作戦はものの見事に打ち砕かれエール不満そう。

堂々と主人公らしからぬ行動を起こす二人を、セルパンは大変冷めた目で眺めながら

「仮にも主人公である人間が堂々と破壊活動&奇襲を行っていいのか」

「隙あり!」

返答などしません。エールは振り返ると同時にチャージバスターをセルパン目掛けて発砲。彼女は何をやっても言われてもこたえないと、ヴァンは関心すると同時に呆れました

「おっと!?」

それにもセルパンは迅速に対応。即座に取り出したモデルVの欠片でシールドを張ってチャージバスターを無効化させました。

「だから奇襲をするなと言ってるだろう!これからイベント!ラスボス前の重要なシーン!一旦攻撃はやめて会話に集中しろ!」

「えー」

「えーじゃありません!」

『口調が完璧におかんだが』

モデルZの鋭いツッコミも無視。その後ヴァンの説得もありしぶしぶ納得したエールは後頭部で腕を組んで不満げな趣ですが、話は聞いてくれる様子

ようやくラスボス前らしい雰囲気になってきました。セルパンはゴホンと咳をすると不適な笑みを浮かべ、二人に問いかける所から始めます。

「ここに来る前に見ただろう、あの大量のサイバーエルフ・・・何故モデルVの覚醒にこれだけのサイバーエルフを必要とするか、君たちに分かるかね」

『全然』

シリアスな場面にも関わらずハッキリとした返答。ついでにチャージを溜め込む作業も忘れません。

それには触れず、セルパンは右手を挙げて高らかに叫びます

「それは人々の恐怖と絶望を取り込み自らの力とするからだ!さあモデルV!全ての人々の恐怖と絶望を喰らい尽くせ!」

途端に部屋の外からガラスが割れる音が何度も何度も聞こえたかと思えば、廊下にいた大量のサイバーエルフたちが一斉に部屋に飛び込み、モデルVの中に入っていくではありませんか。

「あー!ミッション終わってから一匹持って返ろうと思ってたのにー!」

「いい加減諦めてくれません!?」

何が起こっても自分たちのペースを貫き続けるエールとツッコミを入れ続けるヴァン。正直話を続けるだけ無駄なような気もしてきたセルパンですが、一応話は続けます。

「弱き者は我らと一つになることで苦しみから解放される!ロックマンによる人々の救済・・・それがプロジェクトヘブンだ!」

『な、なんだってー!?』

少年と少女の絶叫。ちゃんと話を聴いていないように見えて実は一言一句漏らさず全て耳に入れていた二人はセルパンを凝視。「ようやくまともに聞いてくれるようになったか・・・」っとホッとするのでした

「ってちょっと待て!これだけ大量のサイバーエルフをどこから調達してきたんだ!?ハリケンヌだけじゃこんなに集まらないだろう!?」

サイバーエルフたちは今もなお群れを成してモデルVに吸収され続けています。異様なまでの多さにヴァンは青ざめ、エールの目は鋭く光ります。

「この国は何度も何度もイレギュラーに襲われて、それをカンパニーの警備隊が救ってきた。それがほぼ毎日、何度も何度も何度も繰り返されてきてたわ、それが普通だと思ってたけど本当は違う、これは全部イレギュラー襲撃で死んでしまった人々のサイバーエルフなんでしょ。母さんたちなんでしょ?」

突然炸裂するエールの推理にヴァンが愕然とするのも無視してセルパンはほくそ笑み、小さく頷くのでした。
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