過去拍手置き場

□第23話 因縁でもない対決
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「セルパンはよくやってくれた、モデルVを発掘しただけでも良い働きだ。まあ、結果モデルVに操られるだけの人形になったが・・・俺たちには何の問題も無い」

パンドラは頷き小声で「・・・ざまぁ」とぼやきました。セルパンの人柄を疑います。

『・・・ざまぁ』

「コラ!モデルXも便乗しないの!」

エールに小さく叱咤され、モデルXは母親に怒鳴られた子供のように口をつぐんでしまいました。

それよりも驚くべき事実が発覚している事にヴァンは驚きの色を隠せません。驚愕の目つきでプロメテとパンドラを見やり、叫びます。

「初めからセルパンを利用してたのか!?モデルVを掘り上げるために!」

「・・・当然。誰が好き好んであんなモヒカン野郎の下で働くと思ってるの・・・?」

「お前どんだけセルパン嫌いなんだよ!」

ヴァンはいつの間にやら杖に乗って浮いているパンドラを指して叫ばずにはいられませんでした。利用してたとはいえ、そこまで嫌えるモノなのか・・・。ヴァン自身も嫌いではありますが

何一つ表情を変えないパンドラは、冷たい視線でヴァンを睨むと空を仰ぎ、ぽつりぽつりと呟きます。

「・・・今更知った所で何の意味も無い・・・もうすぐモデルVは覚醒するから・・・」

途端に二人の目の色が変わり、空気が一瞬にして緊張の色をまとい、ピリリとしたプレッシャーが流れ始めました。

火の海から上がる火の粉が辺りを舞う中、不敵に笑うプロメテは大鎌を出し、二人の適合者に目を向けます。

「そういうコトだ。もう少しだけ俺らに付き合ってもらうぞ、ロックマンモデルZX!」

己の身の丈よりも大きい鎌を振り回し、プロメテはとんでもないスピードで突っ込んできました。

先制攻撃は得意でも先制攻撃されるのは初めてだったエールは、奇襲に驚いて一歩も動けずにいます。

その隙を狙いプロメテは鎌を振るい、とっさに目を閉じるエール。しかし聞こえてきたのは自分の身が傷つく音ではなく、刃物と刃物がぶつかり合う音でした。

目を開けたエールの視界に映ったのは、プロメテの攻撃をセイバーで受け止めているヴァン。

「ヴァン!」

「危ない危ない・・・ギリギリセーフだった」

軽口を叩いているものの、プロメテの力はガーディアンベースで戦った時よりも上がっており、攻撃を防ぐだけで精一杯な状況です。

「ほう?前よりちょっとは強くなってるみたいだな」

「当たり前だ!こっちだってただミッションをこなしているだけじゃない、ガーディアンの戦闘員に混じって戦闘訓練受けて肉体強化したんだ!死ぬかと思ったけどな!」

今まで一度も触れられていませんが、プレリー発案の「これで一流戦士になれる司令官特別暗黒スケジュール」という、不吉しか感じない題名のトレーニングを受けていたヴァン。詳細はカットさせていただきます。

当然エールはトンズラしています。逃げ足も一流です。

するとプロメテ、一旦引いてヴァンとの距離を置き、それはそれは楽しそうに、ニヤリと笑いました。

「そりゃあ結構、ベースでやりやった時より少しは楽しめそうだ・・・。だが、大切な事を忘れちゃいないか?」

「今日の深夜アニメならちゃんと予約したわよ。アタシの大事な萌えタイムを忘れる訳ないじゃない」

とっさに声を上げるエールにヴァンは何も言いません。例えそのアニメの内容が、男同士の恋愛ストーリーだと知っていても・・・

「違うわ!つーかそんなのどうでもいい!俺が言いたいのは、お前たちの相手は俺以外にもいるって事だ!」

その言葉に反応したパンドラが杖から降て宙に浮かび、杖を前に構えます。

プロメテが嫌い(客観的に見て)なパンドラが参戦するのは予想外だったヴァンは奥歯を噛みしめ、長期戦を覚悟。セイバーを握りなおしました。

「また厄介な魔法みたいなの使うんでしょ!そうはさせない!」

パンドラが何か仕掛ける前にエールはバスターを構えチャージショット。今度は素早く反応ができました。

しかし、目の前から飛んでくる攻撃を回避するのは彼女にとって簡単な事、ターゲットを外したショットは近くのビルの角に直撃して終わってしまいます。

「・・・こんなの余裕」

無傷の彼女は杖の先から冷気を吹き出し、例の遺跡で窮地に追い込んだあの氷だるまを作り上げました。

そして、ただ眺めるだけしかできないロックマン二人を、氷のような冷たい目つきで見下し

「潰してあげる」

氷だるまを落としました。

あの攻撃に苦戦を強いられた二人は、とっさに身構えて迎撃態勢に入り、迎え撃つ準備を整えます。

ところが、すぐに上がった悲鳴により体制は一気に崩れてしまいます。

「ぎゃあん!」

悲鳴の主、プロメテは頭上から落ちてきた氷だるまに潰され、地面に頭をめり込ませた状態になると動かなくなってしまいました。
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