過去拍手置き場

□第20話 ミサイルと私
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「(いつもだったらブチ切れて俺に殴りかかってくるっていうのに意外と大人な反応だったなぁ・・・。やっぱエールも成長してるって事かぁ)」

子供なのはエールじゃなくて自分ではないか。そうぼんやり考えている間にも、エリアLの最深部へとやってきました。

「今までのパターンだとこの部屋にフォルスロイドがいるって事よね!」

部屋に入るなり堂々と言い切ってしまったエール。ここでその予想を外すとさらに機嫌が悪くなってしまうような気がして、ヴァンの胃痛が止まりません。

「(持ってくれ、俺の胃・・・)」

天に祈るヴァンですがフォルスロイド(ボス)の登場を祈る主人公がいてもよいものなのでしょうか。

彼の考えはモデルZに筒抜けになっています。だけど彼は何も言わず、ただ黙って時を過ごします。

すると、部屋の奥から地響きのような大きな音がゆっくりとこちらに近づいてくるではありませんか。

「んんっ!?」

この展開は・・・。エールは目を鋭くさせ、ヴァンは安堵の表情。

部屋の奥から現れたのはサイのようなフォルスロイド。今までのフォルスロイドと比べるとかなり巨大なフォルスロイドです。

「来たな、ガーディアンに組する愚かなロックマン・・・。この部屋のデータは俺様の体内データディスクに全て記録した」

「何ですって!」

驚きながら叫ぶのと同時進行でバスターを撃つエール。早速不意打ちですね。

ところが放たれたバスターはフォルスロイドの装甲に当たった途端弾かれて、二時の方向へ飛んで行ってしまいました。

「あれっ!?効かない!」

「フンッ。いきなり不意打ちとは実に愚か!お前たちなどモデルPのフォルスロイドプロテクタスが、この部屋ごと踏み潰してやろう!」

ご丁寧に自己紹介してくれたプロテクタスは腕からいくつものミサイルを発射。追尾型なのかエールとヴァン目掛けて一直線に飛んでいきます。

「またミサイル!」

「させるかよ!」

向かってくるミサイルをエールはバスターで打ち落とし、ヴァンはセイバーで斬り落としながらプロテクタスに向かっていきます。

『さすが接近戦型ね!』

敵に堂々と向かって行くヴァンをモデルLがちょっとだけ褒めると、彼のスピードがちょっとだけ上がったような気がしました。

向かってくるヴァンに対してもプロテクタスは動じることなく、余裕の表情(?)

「ふん。そんなちっぽけな剣ぐらいで俺様のボディに傷一つつけることはできん。それに・・・」

この瞬間、ヴァンの足元が爆発。それに合わせるかのように他の場所も連鎖爆発を起こしました。

「なっ、何!?」

『これはまさか・・・地雷!?』

モデルXご名答。爆発の煙が晴れる頃には黒焦げになったヴァンが地面に転がっていました。

『ヴァーン!』

「チッ」

悲鳴を上げるモデルXに対してエールは舌打ち。扱いの差の現状がはっきり見えました。

「うかつに近寄った瞬間こうだ。覚えておくことだな・・・まあ、もっとも・・・」

ぴくりとも動こうとしないヴァンの元までゆっくりと近寄ると、プロテクタスは重量感たっぷりの足を上げ、彼の真上に持って行きます。

「次があればの話だがな」

この光景からすると、プロテクタスの次の行動は一つしかありません。ヴァンの窮地を察知したエールは真っ青になって

「マズイ・・・いくらヴァンでもあんな重量を一身に受けたら命が・・・」

『エール、君は一体彼の事を何だと・・・』

「ぼんやり突っ立ってる場合じゃないわ!助けに行かないと!」

『エール!僕の言葉にちょっとは耳を傾けて!』

モデルXを清々しいほど無視したエールはバスターを構えたまま突っ込んでいきます。

「遠い所から撃って効かないなら、近い場所から撃てばいいじゃない!」

その理屈は一体どこから来るのか。

「甘い!」

もちろん相手は二人いるのでこういう事態は想定済みのプロテクタス。足を挙げたまま腕から地雷をばらまき、エールの進行を阻止します。

「クッ!」

急ブレーキしてスピードと勢いを殺したエールは地雷が反応するギリギリの地点で停止。

このまま止まらずにすぐにバスターショットへ移行するもプロテクタスの装甲は傷一つ付かず、チャージショットまでもが弾かれる始末。

「げ」

こんなタイプの敵は想定外。成す術も無くなったエールですが、何もしないよりかはマシなので通常弾を撃ちまくります。

『駄目だよエール!闇雲に撃っても解決策は見い出せない!』

「そんな事言われてもさぁ・・・!」

今、エールの頬に一筋の汗が流れ、彼女自身がそれに気付く前に地面に落ちました。
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