過去拍手置き場

□第20話 ミサイルと私
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ここはエリアL。古い研究所です。

モデルXたちを作った初代指令官、つまりはプレリーのお姉さんの研究所と似ており、その事からライブメタルたちに関する手がかりが残されているのではないかと睨まれていました。

それも敵が感知したのかすでにエリアLに進軍し、研究所にあるデータを奪おうと企んでいるとかなんとか・・・。

「という訳でアタシたちが早速狩り出されたって事ね!」

「そりゃあ分ってるんだけど・・・」

現在エリアLのど真ん中。早速ミッションを受けたヴァンとエールは研究所の防衛作戦を実施中。

敵が狙っている研究所のデータを手に入れるのが最大の目的。ライブメタルの手がかりを掴むため、セルパンたちに打撃を与えるためにも失敗は許されません。

なのでエールの気合は十分。前回の発掘現場での見事なチームワーク(?)を決めた勢いで、今回の防衛もサクッと成功させてやると、気合十分に叫んでいました。

その反対に、ヴァンは心底しんどそうというか、不安そうです。

「ちょっとヴァン、これはライブメタルたちの貴重な手がかりを掴むだけじゃなくて、プレリーのお姉さんの情報を手に入れる事にも繋がるのよ、やる気あるワケ?」

「いや、やる気は十分あるけど・・・」

気合十分なエールはやる気があるのかないのか不鮮明なヴァンに言い寄って怖い顔。

いつのものように逃げ腰のヴァンは「どうどう」と言いながら一歩二歩と後ろへ後退していき・・・

三歩下がった瞬間、丁度後ろから爆音が発生しました。

「ぎゃあ!」

情けない悲鳴を上げるヴァン。完全にビビり腰です。

するとエールは鼻を鳴らしてヴァンを罵り

「ふんっ。こんなちゃっちいミサイルでアタシたちを倒せると思っているなんて、向こうも詰めが甘いわねぇ」

なんて余裕の一言。その後バスターでヴァンの頭上目掛けて降って来ているミサイルを打ち落としました。

「さあ、とっとと先進んでライブメタルの手がかりを手に入れるわよ!」

「今度は真面目なモノだったらいいな!」

気合十分エールの叫びとついでに、ささやなかな願望を叫んだヴァン。エリアFとエリアJで手に入れたデータディスクの内容がふざけすぎていたのが原因です。

「じゃあ早いとここんなミサイルが雨みたいに降っている所からオサラバするわよ!ヴァン!前に出てミサイル迎撃!」

「やっぱり俺なのかよ!」

面倒な仕事は自分からやろうとしない。それがいつものエールです。

エリアLのど真ん中。イレギュラーが放つミサイルの雨はやむ事を知らず、どんどん降ってきて研究所を破壊してきます。

「このままだと手がかりが粉々に破壊されるかも・・・ほらヴァン!急ぐわよ!」

「い、イエッサー!」

エールには逆らえないヴァン。いつか誓った「脱ヘタレ宣言」は完全に撤回されていたようですね。

『(情けない・・・)』

他人事とは思えないモデルZはぼつりと、ヴァンに悟られないように呟いたそうです。



一度チームワークを覚えた所で満足するエールではありません。今回もチームワークを駆使して進もうと努力・・・

「このっ!邪魔だ!えいっ!うわっ!危ない!」

「やっぱヴァンが前線に出てくれると楽ね〜あ、ガレオン」

しているようには見えません。またヴァンをこき使っているようにしか見せません。

『エール・・・チームワークはどうしたの・・・?』

恐る恐るモデルXは尋ねると、エールは自信満々に語ってくれました。

「何言ってんのよモデルX、アタシはちゃんとチームワークの事考えてんのよ?これだってヴァンが前に出てミサイル打ち落としている間に、アタシが手ごろなイレギュラーを・・・」

そこまで語った瞬間、エールの頭部にミサイルが直撃しました。

『エールゥゥゥゥゥ!?』

「ええっ!?」

モデルXの悲鳴に反応したヴァンが振り返ると、そこには赤いアーマーが見事に黒く焦げてしまっているエールが、ボディから黒い煙を上げながら立っている光景がありました。

「・・・うわぁ」

今まで自分が無様な姿になった事は多々ありました。けれどエールがこんな姿になった場面を一度も見た事がなかったので、ある意味新鮮というかちょっとスッとしたというか・・・

「・・・」

無言のまま立ち尽くすエールはアーマーについた煤を手で払い、バスターを取り出します。

『どうやら一定の場所に落ちる訳ではないようだな』

モデルZの解説。ヴァンがうんうん頷くとエールはバスターを上に向けて一発撃ちました。

しばらく経つと、ミサイル発射係だったのかそれともただ空を飛んでいただけか、バズーカを抱えている飛行タイプのガレオンが、煙を挙げながら落ちてきました。

「いっ!?」

ガレオンはそのまま落下し奈落の底へと消えましたが、エールの怒りはそれだけでは収まりそうもないようで・・・

「・・・ヴァン」

「はいっ!」

身を引き締めて次にパンチが来ても罵倒が来ても良いように心の準備を整えます。ところが

「絶対フォルスロイド血祭りに上げて、アタシの頭上にミサイルぶちこんだこと後悔させてやるわよ!」

「い、イエッサー!?」

意外と真面目な台詞に驚きつつも、敬礼をして彼女の想いを受け止めました。
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