過去拍手置き場

□第15話 不機嫌な彼女
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「前回のモデルPの説教が滅茶苦茶長かったです」byモデルXの適合者の少年

説教はさておき、今日のミッションは行方不明になった町の人々の捜索でした。

プレリーの話では「最近夜道を一人で歩いていると、突然消えてしまう怪奇現象が頻発しているの。目撃者の話からすると行方不明になった人々はエリアIにいる可能性が極めて高いわ」とのこと

エリアIは、蒸しパンを駄目にされたエールの食い物の恨みによって倒されたフォルスロイド、ハイボルトがいたエリアEの先に存在しており、年中無休で雨が降り続け雷が鳴り響く元研究施設でした。

「ホントだ。雨が降り続いてるし雷が鳴ってる」

そこに着くやいなや、すでにモデルZXにロックオン済みのヴァンは雨雲が延々と広がる空を見上げて、エリアIの第一印象を述べました。

それに続いてモデルZXにロックオン済みのエールも

「こんな冷たい雨に打たれ続けてたら絶対風邪引くわ。ちゃっちゃと終わらせて帰るわよ」

とか言いながらメットールの可愛らしいイラストが描かれた傘をさし、片手で新聞を読んでいました。

文句を言えば間違いなく理不尽な暴力を受ける羽目になるヴァンは、まずゆっくりと振り向いて、我が物顔で新聞を読むエールを視界に入れます。

「あのー・・・エールさん・・・?民間人を救出するつもりはありますか・・・?てか何で新聞読んでるんだ?」

なるべく物腰を低くして尋ねると、エールはキョトンとしながらヴァンに言い返します。

「え?何言ってるのよ新聞での情報収集は当然のことでしょ?アンタ新聞読んでないの?」

「え?エールって新聞読んでるのか?」

『・・・・・・』

直訳すれば「エールって新聞読まないイメージだったんだけどなぁ」という台詞を吐いたヴァンは、やっぱりエールの理不尽な暴力を受ける羽目になってしまうわけで

「酷ぇ・・・なにもバスターで殴ることないだろ・・・」

「今を時めく可憐な乙女を馬鹿にするからこういう目に遭うのよ」

バスター(しかも銃口)で殴られたヴァンは頬をさすりながら涙目で訴えましたが、怒っている今のエールにはそんな訴え通じないのが関の山。

「大体何で傘さしてるんだよ、これじゃあ戦えないじゃないか」

勢いに乗り始めたヴァンのさらなる反論。「いいぞ!このままエールに反抗してヘタレという汚名を返上するんだ!」と、モデルZは切に願いました。彼の過去に一体何があったのでしょうか

するとエール、反抗するヴァンにすっかり慣れてしまったのか動揺一つ見せずに言い返します。

「これはこの前買ってきた物よ。可愛かったからちょーっと使いたくなっただけ。これ持ってイレギュラーと戦おうなんてただの馬鹿じゃない。アタシはそんなんじゃありませんー」

まるで逆ギレ気味に言い返すと傘をどこかへとしまいました。一体どこにしまうのでしょうか。

これ以上エールを刺激すると、前々回プロメテにつけられた傷よりも深い傷をつけられてしまいそうな気がしたヴァンは、そこで考えることをやめました。

「なさけない・・・」モデルZが呆れつつ思うのも束の間、突然空が黄色にピカッと光り、今までよりも一番大きな雷が落ちました。

ぴしゃーん

「うおおおお!?」

「キャァァァァァァァ!!」

驚いて叫ぶ二人。そして、ヴァンよりもはるかに大きいエールの悲鳴。

彼女は怒る気持ちなど忘れ、耳をふさいでその場にしゃがみこんでしまいます。こうして見るとごくごく普通の女の子みたいですね。

「・・・・・・」

で、雷が鳴り響いた後もガタガタと震えている幼なじみを見て、ヴァンは不覚にもこう呟いてしまったのです。

「何だ、意外とエールもこういった女の子らしいところがあったんだな」

この言葉はエールという一人の少女を、女として侮辱しているようにしか聞こえなかったそうです。

「意外とは余計よ!」

必殺右ストレート炸裂。ヴァンの頬にクリティカルヒット。

「うぼぁっ!」

どこかで聞いたことのあるような悲鳴を上げ、彼は雨でぐしゃぐしゃになった地面の上に倒れました。鼻血を出しながら・・・
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