過去拍手置き場

□第14話 思い出せ!あの時の記憶
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プロメテとパンドラ、そしてセルパンカンパニーのイレギュラー達の突然の襲撃により、ガーディアンベースは大打撃を受けました。

墜落という大惨事はまぬがれたものの、機体に大きな損傷を受けたベースは一旦大きな町に停泊し、しばらくの間修理を施されることになりました。

それまでライブメタル調査のミッションは一旦中止、怪我から回復したエールは今日もベース修理のために右へ左へあちこち走り回って大忙し。

一方ヴァンですが、プロメテから受けたダメージがまだ回復しておらず、しばらく自室で怪我の治療に専念せざる得ない状況になっていました。

体のあちこちに包帯が巻かれているヴァンは、ふと視線を何も無い天井から窓の外の風景へと移しました。

いつもは大空を飛んでいて青い空と白い雲しか見えなかったガーディアンベース。しかし今は町に停泊しているため、見えてくるのは科学が発展した未来都市。

「・・・・・・・・・」

ぼんやりと、ヴァンはベースが襲撃されたことを考えていました。

プレリーを守るために立ち上がったのはいいものの、結局プロメテの攻撃を防ぐことができず無様にやられてしまい、最終的には結局エールに良い所を取られてしまう始末。

別に良い所がほしかったわけではありませんが、かっこよく立ち上がったのに、プレリーを守るって決めたのに、結局敵にボコボコにされてしまい、今もこうやって自室療養中。

そんな時、彼のことを心配したのかふわりとモデルZが宙に浮き語りかけます。

「大丈夫か?顔色が優れないぞ」

「なあ・・・モデルZ・・・」

「ん?」

「俺って弱いのかな」

突然発した彼の思いにモデルZは思わず返す言葉を失ってしまいました。それは、彼の口からエール以外の悩みが出るとは思っていなかったので、それに対する驚きから言葉を失ってしまったのでしょう。

モデルZが何も言い返さないことをいいことに、独り言のようにヴァンは言葉を続けます。

「折角プレリーを守ろうと立ち上がったっていうのに、結局プロメテに無様にまけてさ。全然カッコつかない上に敵にあんなみじめな姿見せてよ・・・」

「ヴァン・・・」

「これじゃあエールに何も言えない・・・文句言えないよなぁ・・・」

駄目です。今のヴァンは完全にネガティブモードに突入しています。こんな状態の彼にどんな言葉をかけても、それは戯言にしか聞こえないでしょう。

「・・・・・・ヴァン」

「何だ・・・?」

それでもモデルZは、彼に声をかけ言葉を与えます。

「今の俺が何を言っても、お前はきっとその言葉に耳を貸さないと思うが・・・」

「・・・・・・」

「一つだけ言っておく。誰かを守りたい気持ちさえあれば、きっとそれはお前に答えてくれるだろう」

気持ちさえあれば・・・。ヴァンはその言葉を心の中だけで繰り返しました。何度も・・・何度も・・・





それから三日後。ヴァンの怪我も回復し、ベースの修理もほとんど終わり、やっといつも通りミッションも行えるようになった頃。

「プレリーったら話があるって言ってたけど、一体何の用かしら」

「さあ」

先日のモデルZの言葉がまだ気になっていたヴァンは、ぼんやりとした曖昧な返事をしました。

ぼんやりヴァンはさておき、もうすぐにでもミッションに行けるようなった今日この頃、エールと全快したヴァンはミッションに行く前に話があると、プレリーに呼ばれたのでした。

「・・・・・・」

怪我が回復してからどこかボンヤリしているヴァンに、少しの苛立ちを不満を覚えたエールですが、今は何となく何も出来なかった彼の気持ちがわかるので、あえて何も言わず黙っていました。

ですがそこでクヨクヨし続けているエールではありません。彼女はヴァンより先に指令官室の自動ドアを開くと

「やっほープレリー!話って何ー!?」

少しわざとらしくですが、ニコニコしながら大声で叫びました。
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