過去拍手置き場

□第11話 思い出の場所の思ひ出
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夢を見た。

幼い頃の夢を見た。

「ヴァーン早く早くぅ!」

夢の中では今より一回りも二回りも小さいエールが俺に向けて元気に手を振っていた。この時点で夢だとわかったことは悲しいことか

俺は急ぎ足でエールの元まで駆けていった。

「もう、ヴァンったら鈍足なんだから」

嗚呼、この毒舌も今と全く変わってない・・・妙に虚しくなってくる。

するとエールは俺の手を取って言い出した。

「ヴァン、覚えてる?あの約束」

約束?何だっけそれ

「忘れちゃったの?大きくなったらアタシを・・・」

えっ何!?俺全く覚えてない言葉なんだけど!?もしかして、これって恒例の大きくなったらけ、けけけけけけけ結婚・・・



「はっ!!」

午前六時。ヴァンは窓から差し込む光の眩しさに目を覚まして起き上がりました。

「・・・・・・」

頭をぼりぼりかきつつ、彼は周囲を見回すと

「いや、夢ってことは解ってたんだ。解ってたんだけどさ、せめて、せめてその約束の内容を明らかにして欲しいって言うか・・・もうちょっと持ちこたえてくれたらさ」

『朝から何ブツブツ独り言を言っているんだ』

すでに目覚めていたモデルZに、ひたすら独り言を呟くヴァンは怒られてしまいました。





エリアH、そこは放棄された遊園地でした。二人はすでにモデルZXにロックオンした状態でそこに立っていました。

『この奥にライブメタルの反応があるわ』

「解った。後はアタシ達に任せて」

いつもよりやけに頼もしそうにエールはプレリーに返事をして、通信をやめました。

「・・・・・・」

その間ずっとヴァンは黙っていましたが

「まさかここに来ることになるなんてね・・・」

「ああ。イレギュラー共も中々酷なことしてくれたもんだな」

と、今回はエールの鉄拳も罵声も受けることなく、謎めいた会話をしただけで終わりました。

いつもとは違うその様子に

『・・・・・・?』

ライブメタル一同、疑問符を浮かべました。



遊園地の中を、二人のロックマンはイレギュラーをばったばったと倒していきながら進んでいきます。

「チャージバスター!」

「チャージセイバー!」

何か今回は異様に真面目です。いつもならギャーギャー言い合いながらヴァンが可哀想な目に合いながら話が進んでいくのですが、何故か今回は二人とも協力して進んで行っていました。

そんな様子に不安を隠せないのはライブメタル達、特に二人との付き合いが長いモデルXとモデルZでした。

『(モデルZ・・・どう思う?)』

『(どう思うも何もおかしすぎる。真面目に進んでくれるのはいい事だが、まるで人が変わったようだ。嵐の前のなんとやらか?)』

『(まさか・・・でもどうしてあんなに変わってしまったんだろう・・・一応読者からキャラ崩壊が酷すぎるっていう苦情も奇跡的に来てないし)』

『(来たところで改善されるとはとても思えんがな。・・・ん?そういえば・・・このエリアに入ってからだな、二人が急に真面目になったのは)』

『(そういえばそうだね。こなったら直接本人たちに聞いちゃう?)』

『(そうだな、それがいい)』

二人の意見が一致したその時、突然地面に黒い影ができました。
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