過去拍手置き場

□第8話 ヴァンの不幸な一日
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ヴァンは生身のまま、火の海を突き進んでいました。モデルZはヴァンの肩に乗っています。

『アイツは鬼か・・・?鬼なのか・・・普通生身の人間を火の海の中人命救助しろなんて言わないだろ・・・?』

「いいんだよ、モデルZ。アイツは余程のことじゃないと死なないギャグの世界の法則を有効利用してるだけだから」

あきれるモデルZに、ヴァンは諭すように言いました。なんとなくその言葉に説得力があり、モデルZは何も言えなくなってしまいました。

文句を言っても始まりません。ヴァンは生身のままですが、人命救助のため、火事のビル内を走り回ります。普通なら酸素不足で死にますが、そこはツッコんではいけません。

「誰かいませんかー?いたら返事してくださーい。誰か一人でも救助しないと連れ(エール)に“アタシが必死に働いてんのにアンタは何サボってんのよ!”って言われるから誰か返事してくださーい」

市民が心配なのか、自分の身が心配なのか、よくわからないことを言いながら、ヴァンは市民を探します。

同情を引きそうだな・・・。モデルZがそう思っていると

「助けてくれー!」

近くの部屋から誰かの悲鳴が聞こえてきます。どう聞いても市民の声です。

「お!早速発見!」

『手遅れになる前に急げ、ヴァン』

「わかってるって!」

急ぎつつ、ヴァンは声がする部屋のドアまできますが、ドアが壊れているのか、押しても引いても開きません。なので近くにあった瓦礫をドアに投げつけ、ドアを破壊して部屋に入りました。部屋の中の人がそれで怪我してなきゃいいんですけど

「大丈夫か!?」

ヴァンがそう叫ぶと

「・・・・・・」

そこにいたのは一般ピーポーではなく、なんとガレオンでした。銃がついていない手には録音機が握られています。くしゃり、今録音機がガレオンの手によって、紙のように潰され、床に落ちました。

「・・・え?」

まんまとはめられたヴァン、しばし呆然。そんなことしている間に、どんどん他のガレオンに周りを囲まれてしまっていますが

『オイ、どうするつもりだ』

「どうするって言われてもなぁ・・・モデルZでロックオンできたら話は早いけど・・・」

『お前はモデルXの適合者だから無理だ』

「そんなぁ」

のんきに言ってる場合ではありません。ガレオンが銃を構えてじりじりとヴァンに近づいてきます。ヴァンピンチ。

「モデルZ・・・今までありがとう・・・」

『じゃあなヴァン、お前が死んだ瞬間、俺は全力を尽くして逃げるぞ』

「・・・・・・」

ライブメタルにまで見捨てられたヴァン、もう死んでも良いかな・・・なんて思い始めた瞬間

「ソニックブーム!」

突然上から鋭い刃が跳んできて、ガレオン達を次々と破壊していき、あっという間に全滅しました。

「おお・・・」

ヴァンは驚いてそんな間抜けな声を出しました。その表情からは、死の淵から脱出した喜びではなく、これから起こることが大体予想できているような、引きつった表情でした。

「ふう、こんなものね」

そんな彼の前に、エールは華麗に着地を決めました。さっきのソニックブームの発射主は、紛れもなく彼女です。

「エール!」

助かった〜。ヴァンがそんな気持ちを胸に秘めつつ、彼女の元へかけていくと

「フンっ!」


ばきぃ!


「ぐふっ!」

突然エールの裏拳がヴァンの顔面にクリティカルヒットしました。その衝撃でヴァンはひっくり返ってしまい、彼の肩に乗っているモデルZは空中へ放り出され、床に落ちる前に空中へ浮きました。
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