過去拍手置き場

□第3話 エールとエイとグラサンと
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ただいまヴァンとエールはエリアBを捜索中。

「センパーイ!どこにいるんだー!?」

「ジルウェー!いたら返事してー!」

エリアBのど真ん中で叫ぶ二人。どうやら一話以来全く出番がないジルウェを探しているようです。

「だめだ、これだけ叫んでるのに全く返事がない」

半分あきらめ口調のヴァン。下を向いて落ち込んでいるように見えます。

もうだめかも・・・とつぶやいた瞬間、エールの鉄拳が彼の頭部に飛んできます。

「いてぇ!何すんだよエール!」

殴られた部分をさすりながらヴァンはエールを見ます。

「何弱音吐いてんのよ!ジルウェがこんなところで朽ち果てるわけないでしょ!」

エールは腰に手を当て、仁王立ちでヴァンを睨みながらシャウトして続けます。

「忘れたの!?八年前のあの日、ジルウェがアタシ達に言った言葉を!忘れたとは言わせない!忘れたのなら即ロックバスターよ!」

バスターの銃口をヴァンに向けるエール。どうやら彼女は本気のようです。

「わ!忘れてないって!忘れるわけないだろ!」

慌てるヴァン。そして彼の脳内に浮かび上がるのは八年前のあの日の記憶。





回想・八年前

エール「ジルウェー。もしもここがイレギュラーに襲われたらどうするのー?」

ヴァン「ジルウェがイレギュラー追い払ってくれるの?」

ジルウェ「ああ!俺がイレギュラーなんて三秒で追っ払ってやるさ!」

エール「どうやって?」

ジルウェ「(えーっと)実は俺、眼鏡外すと目からレーザー・アイが出るんだ

ヴァン「すげえ!」

エール「見たい!」

ジルウェ「(うっ)もしもここがイレギュラーに襲われたら使ってやるさ!」

ヴァン&エール『わーい!』






回想終了

「(まだエールはあの時のセンパイの言葉を純粋に信じてるんだなぁ・・・)」

なんて思い出にふけていると、またもやエールの鉄拳が飛んできます。しかも今度はバスターの方です。

「ギャア!」

激痛に悲鳴を上げるヴァン。

「なにボサッとしてるのよ!早くジルウェを探さないといけないんだからのんびりしてる時間はないのよ!」

「いてーよ・・・流石にバスターはねえよ・・・」

殴られた場所をさする涙目でのヴァン。

だけどエールの怒りは留まるところを知りません。

「なにそんなんで涙目になってんのよ!ほら、早く立って行く!」

ついにはヴァンを置いてさっさと先に行ってしまいました。

そんな彼女の後姿を見たヴァンは

「なぁ、モデルX」

「なんだい?」

「・・・女って怖いよな」

「・・・そうだね」








えー、なぜこんな所でジルウェを捜索しているかというと、実はこんな理由があるのです。

「センパイが行方不明!?」

エリアAのトランスサーバールーム。ここに来ているヴァンは驚きの声を上げました。

「行方不明というか、まだこちらに来ていないだけなんですけどね」

そう言うのはガーディアンの一員フルーブという眼鏡をかけたひげのじいさんです。

「まさか・・・ジルウェ・・・そんな・・・!」

ショックなのか頭を抱えてポツリポツリと呟くようにしゃべるエール。

「あのー、だからまだ来てないだけなんですけど」

「どうしようエール!このままじゃセンパイが!」

「何ブレてんの!ジルウェがこんな所でくたばる訳ないでしょ!」

「でもさっき最悪の結果脳裏に浮かべてなかったか!?」

「あれは・・・アレよ!演出よ!」

「(見栄張っちゃって)」

「何か言った?モデルX」

「なっ、何でもないよ!」

「・・・・・・」

フルーブの言葉なんて一言も聞いている様子がない二人(+α)の会話。もはや彼の存在は無に等しいです。

「(人の話を聞かない人達だなぁ)」

とか思っていると突然トランスサーバーに通信が入りました。

「はい、どうかしましたか?」

『?』

その様子に気づいたのか二人は視線をやっとフルーブに向けます。

「こちら救護班!仲間を発見しました!これからすぐにガーディアンベースに帰還します!」

トランスサーバーから男の声がします。どうやらガーディアンの隊員のようです。

「待ってください、運び屋の方がまだ来ていないようなんです。こちらで何か確認できませんか?」

「あれは・・・隣のエリアから煙が上がっています。何者かが隣のエリアで戦っているようです!」

隊員の声を聴いた瞬間。ヴァンとエールはすぐにこの部屋からでました。ものすごいスピードで

「あ!ちょっと!」

フルーブの声は、もう二人には届きませんでした。
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