過去拍手置き場

□17話 地下爆走劇
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前回のあらすじ
採掘場で発見したモデルVを巡り、見知らぬロックマンと対峙したアッシュとグレイ。今までにない手強い相手だったがどM作戦を駆使してギリギリ勝利。
しかし、戦いの衝撃に耐えられなかったモデルVは地下深くまで落下。アッシュとグレイは隙を見てモデルV回収へと向かったのであった。


「今回のあらすじは真面目だな〜」
『誰に言ってるんだ?』
現在、採掘場を駆け抜け地下深くへと急ぐグレイとアッシュ、そしてモデルA。前回に引き続きロックオン状態のままです。
多種多様なイレギュラーをバスターショットで次々と蹴散らし、2人が通った後はただのスクラップが散らばっている惨状と化していますが、足が止まる事はありません。
「今までの奴らとは一味も二味も違った手強い相手だったから、花火で足止めをしたとは言っても気を抜くとすぐに追いつかれる可能性はヒジョーに高いわ。ハイパーコスモ美少女アッシュちゃんの第六感が囁いているもの!間違いない!」
「それじゃあもっと急がないといけないね!」
言っている本人は真面目に話していても、ふざけているようにしか聞こえません。それがアッシュクオリティ。
イレギュラーの残骸であるスクラップロードを生み出しながら、2人は採掘場を下へ下へと降りて行きます。道がなければ爆破装置を起動させて足場を破壊し、深い穴を降りる時はグレイがモデルHにトランスオンしてアッシュを抱えてゆっくり降りて、確実に進んでいきます。
これ以上降りられそうにない場所まで来ると、時々背後に気を配りながらまた走ります。時々何かを後ろに投げながら。
「アッシュ?何を投げてるの?」
「対人用閃光弾よ。一度地面に落ちて起動すると、近づいてきた人間の体温に反応して強い光を放つの。元々は違法ハンターを蹴散らしたり、罠にハメるために使ってたんだけど、こんな所で役に立つとは思わなかったわ」
「へぇ〜ハンターも大変なんだね!」
「帰ったら組み立て方と使い方を教えてあげる。なーに、グレイぐらい手先が器用な子ならすぐに覚えられるわ」
静観しているモデルAには「戦いを知らない無邪気な子供に兵器の使い方を教える悪い軍人」という絵面にしか見えていません。ロックマンとして戦っているグレイには戦闘知識は必要不可欠なので文句は言えませんが、心境は少々複雑でもあります。
『まあ……全部終わった所で、コイツは』
ぼやきかけた刹那、2人の背後から地鳴りが響きます。巨大なモノが落ちてきたような轟音と共に。
「なに?もしやアタシの応援隊が駆け付けてくれたのかしら?」
お花畑思考のアッシュの予想は、振り向いた矢先に見えたクラッシュインパクトを黙認した刹那、粉々に打ち砕かれたのでした。
「なにあれ?」
「ゲェー!どう見てもイレギュラー!あのトゲトゲしいローラーでアタシたちを粉々に砕いてしまうって算段だわ!してやられた!」
『誰にだよ……ってうわあ!来るぞ!?』
「なんの!」
すかさずアッシュはバスターを撃つも、ローラーに弾を全て弾かれてしまいダメージを与える事はできません。クラッシュインパクト自身もぴんぴんしており、ローラーを上下に振って採石場を揺らします。
「うげげげ、やっぱり無駄か……てか何よアレ、見え透いた威嚇行動?」
「どうしようアッシュ!モデルFかディアバーンで打撃攻撃してみる!?」
「殴る蹴るのダメージが向こうに通る前にローラーのトゲに刺さってアウトだわ!一旦逃げて体勢を立て直すわよ!」
「わかったよ!」
周囲は石の壁、天井もそれほど高くない採石場では明らかに分が悪い。2人は逃げるという選択をとりますが、当然クラッシュインパクトは追いかけ始めます。
「ついてきたね!」
「いくらアタシが美少女でも、イレギュラーにモテたくないわ!」
愚痴なのか不満なのか自慢なのかは分かりませんが、雄たけびを上げながら2人は逃げます。
しかし、採石の山が行く手を塞ぐようにして存在しているのが見えてくるではありませんか。
「なんという不運!アタシたちもう詰んだのー!?」
『いや、あれぐらいならモデルFのメガトンクラッシュで壊せるハズだ!』
「じゃあ僕がやるー!トランスオン!」
ぴっきーん!という光と共にグレイはモデルF、アトラスにトランスオン。
右手のナックルバスターを強く握りしめ、アッシュよりも先に駆け出し、石の山を力いっぱい殴ります。
「おりゃあ!」
衝撃で木端微塵になり、地面に散らばる石だったモノたち。無残な姿になったお陰でアッシュとグレイが逃げるための道ができました。
「うまくいったね!」
「ええ!でもまだトランスオンを解いてはダメよ、この先にも同じような採石が馬鹿みたいにあるんだから、片っ端から粉砕していきなさい!」
「わかったー!」といつもの緊張感のない返答と共に、グレイは山々を全て破壊していきます。クラッシュインパクトとの距離も、少しずつではありますが伸びていき、もうそろそろ見えなくなりそうです。
「良い調子よグレイ!このままあのイレギュラーを迎え撃つ絶好の場所に辿りつくまで走り続け……んあっ!?」
悲鳴と共にアッシュ急停止。先に進んでいたグレイもその場で既に止まっていました。
目前に広がっていた光景。それは、見渡す限りの針の山でした。通称即死地帯。
「ヤヴァイ」
「やばいの?」
「ええ、とっても。前門の虎、後門の狼ね」
後方から轟音が迫ってくる音。立ち止っている間に距離を取っていたクラッシュインパクトが追い付いてきたのです。
「げげげ、迷ってる暇はなさそうね……モデルA、この距離なら助走をつけて飛べばなんとかなるかしら?」
『十分距離を遣えばな……え?マジでやんのか?』
「もち」
少し下がった所で、アッシュは走り出しました。グレイも後に続きます。
ロックマンになって向上した身体能力を駆使して駆け、針山地帯寸前で踏み込んでジャンプ。グレイと一緒に宙に飛び出します。
『アイキャンフラ――――イ!!』
既に飛んでいますがこの絶叫。同時にクラッシュインパクトが追い付きますが、キャラピラー部分とトゲが接触した刹那、爆音を上げながら急停止。しばらく小さな爆音を連続で発し、最終的に大きな爆音を立てて木端微塵になりました。
その様子を、針地帯を見下ろせる崖の上から見ていたアッシュとグレイ。
「あーりゃま、キャラピラー部分が弱点だったのかしら?」
「攻撃する必要はなかったんだ、逃げてて正解だったね」
「さすがハイパーコスモ美少女アッシュちゃんの天才的なカンだわ。今日も冴えてるぅ」
「冴えてる!」
いやアッシュの勘は特に仕事してなくね!?とモデルAは言いかけて、やめました。
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