DFF小説

□頑張れ過保護姐さん!
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エクスデスの歌
作詞:バッツ 作曲:誰かさん

このー木なんの木エクスデスー
見たことのーある木ですから
天気の良いー日はー日向で光合成ー

このー木なんの木エクスデスー
元は一本の木なんだよ
小鳥が頭にー巣をー作っているー




「このー木なんの木エクスデスー火に弱いなんてことはない♪」

「・・・・・・」

土曜夜九時ぐらいに始まるテレビ番組の最後の方に流れる歌を元にした替え歌を歌いながら、上機嫌にスキップしながら道を歩くバッツを、偶然見つけたユウナはその場でぽかんとしながら、彼が視界から消えるまでずっと見ていました。

彼が彼女の視界から消え、謎の歌も耳に入らなくなった所で

「・・・あの歌、流行ってるのかなぁ」

CDがあったら欲しいなぁ・・・。と言うような羨ましそうな目で独り言を呟きました。気に入ったのかよ。

ちょっと名残惜しそうに後ろを振り返りながら、彼が進んでいった方向とは反対の方向に進もうと足を前に動かすと、コツンと靴が何かに当たった音が聞こえました。

「ん?」

少し驚いて足元に視線をやると、蹴られたお陰で地面をころころと転がる透明の小瓶を発見。それはしばらく転がっていましたが、小石に当たったことで転がることをやめました。

「何だろう」

すぐに転がることをやめた小瓶に近づいて、前にかがんでそれを拾い上げました。小瓶の表面は太陽の光に当たってキラキラと輝いており、中では青色の液体がちゃぷちゃぷと波うっていました。

さらに、小瓶の底には誰かの名前が油性のマジックペンで書かれてあります。ユウナはその名前を見ましたが、特に表情を変えることはなく

「知らない人の名前だ・・・ライトたちに相談してみよう」

この世界に着てからというもの、いつも自分の世話を焼いてくれる優しいお姉さん的存在、ライトニングの元へと駆けていきました。

そんな中、のんびりぽやぽや召喚士美少女ユウナが去って行く背中を、草むらから変質者のように見つめる影が一つ・・・いえ、二つありました。

「・・・どうするつもりだ」

「僕に言わないでよ、元はといえば君の責任でしょ」

物語の後半に進む前に、この二人の正体は明らかになります。あまり期待しないで待っているように。ちなみにヒントは足すと16





コーネリア平原のとある一角。ライトニングは自分とほぼ同じタイプの武器を扱うコスモスの戦士、スコールに武器の有意義な使い方を伝授していました。

「ここはこうした方が火力が上がってより強くなる。後は工夫次第でイミテーションを一撃で倒せるぐらい強力になるはずだ」

「なるほど・・・さすがは元軍人、色んな知識を持っている」

ガンブレードの刃先を研ぎ石で磨きながら、スコールは広い知識を持っているライトニングを尊敬の眼差しで見つめました。はたから見ればいつもの仏頂顔とあんまり変わっていませんが

「そういえば、そのガンブレードに付いているストラップは何だ?魔物か?」

「ああ・・・コイツは・・・」

ライトニングの質問により、スコールのグリーファに対する熱い思いが、想定100ページ弱を費やして延々と語られようとした時

「あっ、いたいた。おーい二人ともー」

お盆の上にラップのかかっているおにぎりを乗せて運んでくる女性が、ティファが現れました。

「ティファか、どうした?」

「(ちっ)」

特に味気のない返答をするライトニングに対し、折角グリーファの事を語ろうと思っていたのに・・・と思うスコールは心底つまらなそうに心の中で舌打ちを繰り出しました。

若き獅子の心境など知らず、ティファは持ってきたお盆を二人の目の前に置くと

「お昼になっても帰ってこないから、もしかしてと思ってたけど・・・やっぱり武器のことについて語ってたんだね。お腹空いてると思っておにぎり作ってきたけど食べる?」

『もちろん』

お腹が空いていた二人は、ティファの誘いに一発で乗ってしまいました。しかも同じタイミングで首を縦に振って

息がぴったりあうナイスコンビは、早速ティファ手作りのおにぎりをぱくぱくと食べ始めました。

「むっ、塩加減抜群だな」

「中身は明太子か。俺は明太子より鱈の方がいいな」

「元の世界では軽食店で働いてたけど、魚を丸ごと入れるおにぎりは作ったことないなぁ」

スコールの隣に座ったティファは、彼のボケを笑顔で流してしまいました。でも心の中ではきっとそのボケに対する激しいツッコミを復唱しているに違いありません。

「(皆のボケにいちいち激しくツッコんでたら身が持たないもんね・・・クラウドもそのことについて苦労してるって言ってたし・・・)」

同じ境遇の彼のアドバイスから学んだ彼女は、これからは大人しくツッコミをする方針で生活していこうと心に誓っていたのでした。三日ぐらい前から

「(最近ティファのツッコミにキレがないな・・・体調でも悪いのだろうか)」

理由はどうであれ、勢いが少なくなったティファをライトニングはこっそり心配していました。彼女は激しいツッコミをご所望のようです。

そして、それぞれ全く違う思惑を持つランチタイムに突然乱入してきた少女によって、この物語は動き始めていきます。
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