DFF小説
□俺と親父の闘争劇
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八月★日 快晴
明日は親父と沖で魚釣り対決をすることになった。釣りの腕は親父のほうが上らしいが、そんなこと知ったこっちゃねぇ!この勝負、今度こそ俺が勝ってやる!
以上、ジェクトとの喧嘩で0勝127敗している男、ティーダの日記でした。
注:作中にはツッコミが不足しています。ご注意ください
そして、翌日。ティーダとジェクトと見届けに来たバッツとジタンはとある港に来ていました。
「今日こそぜってえ勝ってやる!」
「へっ、抜かせ餓鬼が。勝つのはこの俺、ジェクト様だ!」
会って早々元気な親子に、バッツとジタンはどこか暖かい家族を見るようなまなざしで
「仲いいなぁ」
「そうだなぁ」
和やかに呟きました。すると
「ジェクトさーん、船の準備ができましたよー」
漁船からジェクトの友人、山元さんの声が聞こえてきました。彼は数ヶ月前船が嵐にあって身の危険を感じたとき、巨大カジキマグロと格闘していたジェクトに助けられ、それ以来何度か酒を飲みあった親友だったりします。何故ジェクトが巨大カジキマグロと格闘していたのかは謎ですが。
「おお、今行く!ホラ来いガキンチョ!」
「誰がガキだ糞親父!」
ジェクトは軽々と船に乗り、ティーダは挑発されて船に乗り込みました。
「ティーダーあんまり親父さんの挑発に乗るなよー」
「わかってらい!」
ジタンの忠告を聞いたティーダですが、その目は熱い闘志によってごうごうと燃えまくっています。どう考えても三分ぐらいしたらその言葉を忘れそうです。
「・・・だめだこりゃ」
「しょーがないってジタン。アイツはそういう奴なんだからさ」
心配するジタンにヘラヘラと笑うバッツ。
「じゃあそろそろ出航しますよ」
山元さんの声がすると同時に、漁船のエンジンがかかりました。
「勝負は沖に出てから開始だ、文句はねぇな」
「あったり前だ!ぜってえ俺が釣ってやる!巨大カジキマグロをな!」
漁船はエンジンの音と二人の口喧嘩の声をバックミュージックにして、沖へと出航し始めました。
「ティーダーがんばれよー」
「お土産よろしくなー」
ジタンとバッツは胸のうちで彼の勝利を半分諦めつつ、大きく手を振りました。
そんな二人の後ろでは、ラジオの声が響きます。
『台風39号はますます威力と速度を増し、現在海上で暴れており・・・』
出航から二時間後、漁船は見事に台風に巻き込まれました。
「もう駄目だジェクトさん!ここは一旦帰りましょう!」
船が転覆しないように必死の山元の声は、勝負に夢中のこの馬鹿親子には全く届かず
「くっそー!また小鯵か・・・」
「やーい、雑魚ばっか釣りやがって。俺様なんかさっき鱸釣ったぜす・ず・き」
「ムキー!俺だって本気になれば鱸どころか鮫の一匹や二匹・・・!」
「釣れるもんなら釣ってみな!どうせガキには無理な話なんだろうけどな!」
「誰が餓鬼だ糞親父!」
駄目です。この二人完全に勝負に夢中です。というか何故この台風の中、鯵や鱸が連れるのでしょうか。
何て思っていると、突然船の横に巨大な津波が発生しました。山元は慌てていますが馬鹿親子は全く気づかないまま
「よっしゃー!鯛ゲット!」
「おっ、なかなかやるじゃねぇか」
だから何故この荒れまくっている海で鯛が釣れる。
「ん?なんじゃありゃ?」
「は?何の話だよ・・・こりゃ・・・津波?」
今気づいても遅いです。巨大な津波は容赦なく船を襲い、馬鹿親子を海へと放りだしました。船内にいた山元はギリギリ無事でしたが、漁船は波に飲まれ、そのままひっくり返ってしまいました・・・
ティーダは夢を見ました。
どんな夢なのか、一言で表すのは難しいですが、それは酷い夢でした。
まず、小さい人が大きい人を襲っています。普通逆だと思われますが、間違いなく小人が人間を襲っています。
今、一人の人間が家から飛び出しました。家はその瞬間火に覆われました。
一体何なのでしょう、新しいFFのストーリーでしょうか、でも14はオンラインだし・・・
「はっ!」
ここでティーダは覚醒し、ゆっくりと起き上がりました。彼が倒れていた場所は、夏の太陽に照らされてすっかり熱くなっている砂の上でした。
「何で・・・俺、こんなに汗まみれなんだ・・・?」
長時間太陽に当たっていれば汗だくにもなります。