DFF小説
□カオスの家出
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それは、皇帝の何気ない一言から始まった・・・。
「私のおやつがないぞ」
時刻は午後三時ぐらい。世間ではおやつタイムです。もちろんこのカオス家でも例外ではありません。
三時のおやつタイムに、皇帝は冷蔵庫を開け今日の自分のおやつ、最高級のエクレアを食べようとしていたのですが、冷蔵庫の中にはエクレアは存在していません。あるのは今日の晩御飯の材料のみ
その騒ぎを聞きつけて、ガーランドが現れます。
「何事だ、騒々しいぞ」
「私のおやつのエクレアがなくなっている!貴様か!私のエクレアを食ったのは!」
必死に叫ぶ皇帝を見て、なんだそんなことか・・・と呆れるガーランドですが、何かいわないと犯人にされかねないので渋々答えます。
「ワシは盗み食いをするほど落ちぶれてはおらん」
「そうか・・・なら一体誰が・・・私のエクレア・・・」
大層落ち込む皇帝陛下。エクレア一つでこんなに落ち込む皇帝は恐らくコイツしかいないと思います。
「・・・そんなに食べたいのなら、また買えばいいのに」
その様子を一定の距離から見つめているミコトは正論を唱えますが
「何を言うか小娘!あれは最高級のエクレアなのだぞ!毎月赤字ギリギリのここの財力で、大人買いできるような品物ではないのだぞ!」
じゃあ働けや。ガーランドの心の奥底からの強い思い。
「何々?三時のおやつ時に何騒いでるの?」
騒ぎを聞きつけてもう一人、クジャがやってきました。彼が現れるや否や、皇帝は
「貴様か!私のおやつのエクレアを食ったのは!」
「はぁ?何で僕が君のエクレアを盗み食いしなきゃいけないんだい?言いがかりも程々のしてよね」
多少腹の立つ返答ですが、エクレアを食った犯人はクジャでもないようです。
「おのれ・・・一体誰が・・・」
怒りでわなわなと震える皇帝。彼の怒りは爆発寸前です。ちょっとでも刺激したらヤバイことに成りかねません。しかし
「おーい、今帰ったぞー」
騒ぎを聞きつけたわけでもないカオスが笑顔で帰宅してきました。
ピキッ、皇帝の額に少し青筋が浮かび上がります。
「今日は珍しく大当たりしてなー。ホラ、お土産のたこ焼き」
そんなことは全く知らず、カオスはお土産のたこ焼きを一箱、ミコトに渡しました。残りは近くにあるテーブルの上に置きます。
たこ焼きを受け取ったミコトは早速蓋を開けてそれを食し始めました。食いつきがはやいです。
そして鼻歌交じりで部屋を後にしようとするカオス、しかし彼に皇帝の魔の手が迫ります。
「待てカオス」
「ん〜?」
呼び止められたカオスは、その場でとまり、皇帝の方を向きます。
「貴様がもっと稼がないせいで、私はエクレアが買えないのだぞ!もっと金があればエクレアが何個でも買えたのだぞ!」
「へ?」
顔に似合わず可愛らしく首をかしげるカオス。一体何のことか全く理解していない様子。
そこへなぜかクジャが加勢してきます。
「そうだね。確かにアンタがもっと稼がないせいで、僕の美貌を維持するための物なんかが買いにくくなってしまった。これは許されざる行為だよ」
「へ?え?」
「大体何故ギャンブルなどに手を出す!貴様がもっと真面目に働けば我々はもっと豊かな暮らしができるのだぞ!」
「・・・・・・」
ここまでずっと黙っているガーランドですが、とっても何か言いたそうです。恐らくお前も真面目に働けや。と言いたいのでしょうね。
「だって・・・ギャンブル好きだし・・・楽しいし・・・」
二人は自分が真面目に働かず、ギャンブルばかりしていることに腹を立てたのだとやっと理解したカオスは、弱々しく反論します。あの図体と声で
「何が好きだからだ!貴様のせいで我々がどれだけ迷惑をしていると思っているのだ!」
「そうだよ!自覚持ってる!?」
次第に二人の言葉はきつくなっていきます。皇帝はただの八つ当たりですが、クジャはただ、日頃の不満をぶつけているだけのようです。もしくはただの気まぐれか