過去拍手置き場

□第23話 因縁でもない対決
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吹っ飛んだプロメテは最初とは違う街灯に激突。街灯はへし折られ、重い金属音を上げながらビルに激突しました。

「今の・・・って・・・もしかしてももしかしなくとも!」

驚くのと同時進行でこれをやってのけた犯人像が脳内を走り回るので、とっさに視線を横に動かします。

予想通り、バスターを構えたままのエールがプロメテが飛んで行った方向を睨みつけている光景が飛び込んできました。

「アンタカッコつけ過ぎよ。馬鹿じゃないの?てか馬鹿でしょ」

「速攻で断定するのやめてもらえませんか!?」

ヴァンの叫びに対しても、エールは銃を降ろしてそっぽを向くだけ。他に言いたい事は無い様子。

目立ちたがり屋の彼女のことですから、ヴァンがプロメテとの熱いバトルを展開している様に嫉妬でも覚えたのでしょう。・・・そういう事にしておきました。

「ありがとエール。助かった」

「よろしい。じゃあ今後は一人で抱え込まずパートナーにきちんと相談して解決方法を導くこと。無視したらなぶり殺すわよ」

岩を砕く(ヴァン予測)エールの拳が力強く握られて、ゆっくりと顔の手前まで掲げられます。

力のかけ過ぎて震えている拳を前に、その威力を身を持って知り尽くしているヴァンは逆らえません。身震いしながら首を何度も縦に振って了解の意を表しました。

「はい!かしかまりましたかしこ!」

頭を下げる最中、女の子に助けられるわ、プロメテには押されっぱなしだったわ・・・何一つ頼りになる所を見せられないヘタレはすでに泣きそうになっています。

だけど、脅し文句に添えられた彼女の言葉で再確認できたことはありました。

「俺一人の問題じゃ、ないのか・・・」

「何?抗議なら0,3秒だけ受け付けるわよ」

「滅相もございません!」

0,3秒って受け付けてないのと一緒なんじゃ・・・!とは言えず、エールにビビるヘタレっぷりを見せながらも、自分の考えを見直すべきだと考え始めたヴァンなのでした。

『安心するのはまだ早いみたいだな』

モデルZが静かに言い、ヴァンは振り返りエールは目つきを鋭くさせます。

炎の海の中から再び姿を現すプロメテとパンドラ・・・ですがパンドラは片方のビットを失っていますし、プロメテもアーマーが所々ボロボロ。二人共大層情けない姿になっていました。

「・・・壊した」

パンドラ、ヴァンを睨んで不満げに一言。しかし攻撃を仕掛ける様子はありません。

「パンドラーどーどー・・・」

執念深くにらみを続けるパンドラをあやすプロメテ。まるで癇癪を起した子供をなだめる親のようでした。

何を言っても落ち着こうとしないパンドラに呆れてため息をつけばヴァンたちに目を向け、傷だらけなのにも関わらずニヤリと怪しい笑みを浮かべ。

「さて、そろそろ俺たちはおいとまさせてもらうとすっか。どうせお前たちも、セルパンも、あの男が仕組んだゲームからは逃れられないからなぁ・・・」

「アンタ、いつもそのヘタレモードとちょっと危険な男モード使い分けてんの?しんどくない?キャラは一つにして使いなさいよ」

「余計なお世話だ!ほら、帰るよパンドラ!」

「・・・私の代わりにセルパン倒しておいて」

「それ幹部が言う台詞違う!深手を負って憎き相手に挑めなくなったから、全てを主人公に託す決心をした仲間の台詞!」

妙に細かい上にドラマも見えそうな例えをしながらプロメテは炎の中に消え、パンドラも続いて姿を消しました。

ヴァンが呆気にとられて口を大きく開けている間、幹部二人が発す鋭い殺気はこの瞬間ふと消え、周囲の炎の勢いも弱まっていきます。

「炎の勢いが弱まった・・・アイツら追っ払ったからか?」

「みたいね。それにしても・・・」

「どうした?」

目を向けてエールを見れば、彼女は難しい顔をして何か考え込んでいる様子。

しばらく声をかけるのをためらっていると、彼女はふと顔を上げて

「あの二人・・・結局何だったのかしら」

「さあ・・・」

最終決戦も近いというのに、二人に緊張感の文字は存在しなかったそうな。


続くよ
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