過去拍手置き場

□第23話 因縁でもない対決
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バスターショットだけでは電撃を相殺するには事足りず、ついにエールは射撃から回避に専念せざる得ません。

「もぉ!何よコレぇ!訳分かんない!マジ分かんないんだけどぉ!」

苦情を叫んでも誰も受理してくれません。後ろでうつ伏せに倒れているヴァンは、地面に自分と同じ形状の型を作り上げてからぴくりとも動きませんし・・・復活の目途はない。

またいつぞやのように頭を踏みつけてたたき起こす荒業に出る必要がありそうです。エールがビットではなく、ヴァンを睨みつつ物騒な考えを展開させた時でした。

『おや?』

ふとモデルXが声を上げ、上空を見やります(注:どうやって見上げたのかはご想像にお任せします)

あれほどしつこく電撃を放っていたビットは、突然攻撃を止めてゆっくり上へ上へと昇って行くではありませんか。

他のライブメタルたちも首を傾げ(注:ツッコむ必要なし)代表してモデルXがエールに報告。

『エール、エール、今はヴァンをいたぶる方法を考えている暇はないよ』

「アタシはヴァンをいたぶる事に快感を覚える性質なんてないわ!純情かつ潔白な乙女だもん!」

そりゃあないな。ライブメタル一同一斉に感じ取った事でしょう。口には、出しませんが。

『君の性癖について指摘するつもりは一切ないよ。それより注意して、あの電撃を放っていたビットが消えた。また何か仕掛けてくるかも』

「ええ?・・・あーホントだ。何か静かになったなーって思ったらいつの間にか消えてたわねー、何でかしら」

彼女の中に「警戒」という言葉は存在していないのでしょうか、辺りをキョロキョロ見回すだけ。

モデルZが呆れてため息を漏らした刹那、上空から身を突き刺すような強い殺気を覚えました。

『上だ!』

鋭い声が飛んでとっさに反応すれば、鎌を構えたプロメテが猛スピードで突っ込んでくる場景を捕えます。

このスピードではいくらエールの早打ちが神がかっていても(ただし自称)間に合いそうもありません。

答えが分かり切っていても諦められない少女はバスターを構え、プロメテに標準を・・・

「しまった!」

プロメテの狙いが地面と仲良くお友達しているヴァン。それに気づきました。

あの時躊躇せずにヴァンの頭を粉砕しておけば・・・!奥歯を噛みしめるも後悔先に立たず。

動揺したせいか高速で動くプロメテに標準が合わなくなっていしまいました。

「マズイ・・・」

炎の熱だけでのせいではない汗が彼女の頬をつたって地に落ちました。

プロメテの鎌が、ヴァンの首元に迫る

その時でした。

「そいやぁぁぁ!」

いきなり腕を突っぱね飛び起きたヴァン、セイバーを下から上に大きく振り上げてプロメテの鎌を防いだではありませんか。

「何っ!?」

火の海の中で再び木霊するセイバーと鎌の接触する音。お互いの刃がこすれ合い、火花を散らしました。

「いつぞややったぞ騙し討ち!さすがに終盤ボスに対しては上手くできなかったけどな!」

敵に攻撃を与えた所で成功したと言えるので事実上騙し討ち失敗ではありますが、怯ませることはできたのであながち失敗とは言い切れませんね。

しかし、相手は相棒に逆らえないヘタレでもセルパンカンパニーの幹部。その肩書は伊達じゃない。

すぐにニヤリと笑ったプロメテは、力を入れてヴァンを押していきます。

「それぐらいで勝敗が決まったと思ってんのか?大した余裕じゃないか」

「うっさい!相棒に虐げられてるクセに偉そうに言うな!」

「お前だって人の事言えないだろうが!そう言ってる内に、体を縦二つに斬り落としてやんぞ!」

すぐに持ち直したプロメテの鎌に、ヴァンが徐々に押されていきます。

根拠はないけど行けると思っていたのですが、やはり相手が悪かったのでしょう。ヴァンの顔に苦痛が現れ、ついでに汗も流れ始めます。

「何だ?さっきまで余裕綽々だったのにもう根を上げるか?ガーディアンベースよりもちょっとは成長したと思ってたが、全然成長してないな!」

「黙れ!」

違う、俺は成長したんだ。エールがやられてプレリーに危険が迫っても、地に伏すだけで何もできなかった俺は決心したんだ!強くなるって!

「これまでの経験でその力を、守る力を手に入れたんだ!成長してないなんて言わせない!」

「ならここで証明してみせな!お前がどんだけ強くなったのか!俺に見せつけてみやがれ!」

地面を踏みしめているヴァンの足が、土煙を上げながら後ろに下がります。

今まで色々な場面で頼りにしてきた、ジルウェと同じライトグリーンの輝きを持つセイバーにヒビが入りました。

これが折れれば・・・末路は目に見えていました。

「クソッ・・・」

策は無し。セイバーに入ったヒビは徐々に大きくなっていき、死期が近づくのを感じてきました。

「(クソッ!畜生!俺は結局何にも変わってないのか!また、アイツに負けて無様な姿をさらけ出すだけなのか!俺は・・・!無力なのか・・・!)」

唇をかみしめ、己の無力さをまた思い知り、自滅覚悟で飛び出そうとした刹那。

「へぶっ!」

プロメテが悲鳴をあげながら吹っ飛びました。
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