過去拍手置き場
□第23話 因縁でもない対決
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なんともみっともない形で緊張感は解かれ、ヴァンもエールも武器を構えたまま、プロメテを見て唖然。
ライブメタルズも一言も喋らず無言を押し通し、ツッコむ者もいなければ同情する者もいません。
「えーっと・・・え・・・?どうする?」
とんでもないミスを目の当たりにしたヴァンは目を白黒させつつ、エールに意見を求めるも
「知らないわよ。あっちがただ作戦ミスっただけでしょ?ちゃっちゃと攻撃しちゃえば?」
「したいのは山々なんだけど、何か・・・その・・・」
苦い顔を浮かべ、ヴァンは再びプロメテを見やります。
プロメテの傍には、いつの間にか空中から降りてきたパンドラが待機しており、彼女が杖を小さく振ると氷だるまは粒子になって消えてしまいました。
それでも動きそうもないプロメテに、パンドラは杖で突いて容赦はしない様子。
「プロメテ・・・起きろ」
「パンドラ・・・ちゃん。言ったよね?アイスドール使う時は周りというか、下を見て安全確認してから使うようにって・・・」
「・・・だから仕事中にちゃん付けで呼ばないで」
さらには足で蹴り始める彼女。蹴られている今のプロメテは、幹部としてもパンドラの相棒としても、終盤のボスとしても威厳が感じられないただのヘタレでした。
「俺・・・今ならアイツと分かり合える気がする。思う存分本音で語り合える気がするよ・・・」
込み上げてくる涙を押さえる術を知らないヘタレ少年は腕で涙をぬぐいます。しかし、全てぬぐいきれず、腕を涙と鼻水で濡らすだけに終わります。
しかし、エールどん引き。
「ちょっとヴァン・・・何で泣いてるの?アイツらただ仲間割れしてるだけじゃない。どこをどう見れば本音で語り合えるって言うのよ」
「お前の目ぇ節穴!?」
ヴァンの絶叫が響き、あまりにも大きな声に期限を悪くしたエールの拳が炸裂して、ライブメタルズが黙って見守るいつもの光景が流れましたが割愛。
その間に立ち上がったプロメテ、瀕死の兵隊のごとくヨロヨロと立った終盤ボスは、懐からE缶を取り出すと蓋を開けて飲み始めます。
アイスドールよりも冷たいパンドラの視線を受けながら、10秒足らずで全て飲みきると空になった缶火の海の中に投げ捨てました。ポイ捨てです。
「ちょっとトラブルったが問題ない、こっからが本番だ!」
「プロメテ・・・鼻血・・・」
「マジで!?」
慌てながらハンカチで拭いている間、ヴァンの悲しそうな視線が突き刺さり、精神に大ダメージを負いました。
「んな目で見んな!やるぞパンドラ!例のヤツ行くぞ!」
「・・・わかった」
何かを仕掛けるつもりなのか、プロメテは一歩下がって炎の中に身を隠し、パンドラは杖を持ったまま宙に浮かびあがります。
殴って殴られての漫才を続けていたヴァンとエールが途端に目の色を変え、警戒態勢に入ります。
ヴァンはセイバーに、エールはバスターにありったけのエネルギーを詰め込み、次来る攻撃を待ちかまえ
パンドラが、感情のこもってない冷たい声でただ一言
「さようなら」
それだけ述べた刹那、頭にある二つのビットが同時に飛び出しパンドラ自身は姿を消します。
ビットの片方は電撃、片方は氷弾を連続で放ち二人めがけて一斉に降り注いできました。
「ヴァン!相殺!」
「おうよ!」
エールの一声でヴァンは地面を蹴り、街灯を飛び越すほど高く跳躍。氷弾を飛ばすビットに向かいます。
飛び上がり時の勢いを殺さずに氷弾をセイバーでたたっ斬りながら急接近、発射され続ける氷弾もセイバーを振るって割っていきます。
「おりゃああああ!」
気合の入った雄たけびと同時にビットまで到達、次の氷弾が飛ばされる前に真っ二つに斬り落とし、破壊に成功しました。
「おっしゃ!俺だってやればでき・・・」
拳を握って喜ぶのもつかの間、そういえばどうやって着地するか全然考えていなかった事に気づき、空中で蒼白。
「ああああああああああああ!」
人類を超越した存在であるロックマンでも重力という自然の摂理には逆らえません。当然落下しました。
ピンチに陥ったヴァンなんて見向きもせず
「こなくそー!」
エールはバスターショットを連射して電撃を出すビットを攻撃するも、電撃にショットを防がれてしまい中々攻撃が届きません。
背後あたりでヴァンが地面と激突した効果音が流れましたが無視。いつものエールです