過去拍手置き場
□第12話 エールを取り戻せ!
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パープリルを闇へ葬り去り、ヴァンに取り付いた小さいメットールも全て回収したエールは、部屋の奥にある滑り台の一番上に乗り
「アタシ、前回何か言いかけてたような気がするんだど・・・何だっけ?」
「えっと・・・忘れた」
その場に座るヴァンは、もう何も考えたくないのか投げやりな台詞をはきました。
彼の返事を聞いたエールは「じゃあいいや」と言うと滑り台から降りて
「そういえば、あんな情けない姿になったとはいっても、アンタアタシを助けようと必死になってたのよね」
「えっ、まあ・・・うん」
「ふーん・・・・・・ありがと」
「えっ?」
一瞬驚くヴァンの心の中では、彼の心の中の住人が一斉にガッツポーズ&拍手喝采を繰り出しておりました。今夜はお祭りです。
そのことを悟ったモデルZとモデルXは、そんなお祭り状態のヴァンを祝福してくれたことでしょう。心の中で
「さて、コイツが持ってるっていうライブメタルは一体どこにあるのかしら」
「残骸はあるから、たぶんこの中をあされば出てくると思うぞ」
肝心のライブメタル回収のため、パープリルだったもの、つまりは残骸をあさり始める適合者二人。すると突然通信が入ります。
『ヴァン!エール!』
通信の声の主はプレリーです。なにやら切羽詰ったような声でした。
「あれ?プレリーどうかしたの?」
何食わぬ表情のエールが尋ねると、返ってきたのは二人の予想を遥かに超える大変な答えでした。
『実は今、ガーディアンベースに大量のイレギュラーが急速に接近しているの!このままだとベースは大打撃を受けてしまうわ!』
『何だってぇ―――!!?』
突然の急展開に絶叫する二人の適合者と二つのライブメタル。その声は一つになって部屋の中に反響します。
『お願い!急いで帰ってきて!もうすぐそこまで来てるわ!』
「わかった!俺達が戻って来るまで何とか耐えてくれよ!行こうぜエール!」
「もちろんよ!ガーディアンベース落とされちゃったら、アタシが最近購入した“お宝”が海の藻屑になっちゃうわ!」
「・・・・・・」
お宝って何ですか?とは怖くて聞けなかったヴァンですが、時は一刻を争う状況なので急いで部屋を出て、ガーディアンベースへと続く、転送装置まで走り出しました。
しかし、彼らはすっかり忘れていました。
『・・・・・・一体何時になったら出番は来るのだろうか・・・』
破壊されたパープリルのパーツに引っかかって、身動きが取れなくなってしまったモデルPの存在のことを・・・。
つづく