ディスガイア小説
□雨の日のホルルト村
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「それはいいとして。矢はあるがロープがないぞ」
もっともなユイカの意見に、リアスは愕然とします。
「あ!」
ロープがないんじゃ意味がありません。作戦練り直しか・・・三人が途方に暮れそうになっていると
「ん?」
ユイカは屋根の上にぽつんと置いてある道具入れを発見。それはアデルが持っていた物ですが、彼女はそんなこと全く知りません。
「こんな物が置いてあるぞ」
彼女はそれを拾い上げると、リアスとアリナに見せました。
「おお!グッドタイミングだユイカ!もしかしたらこの中にロープがあるのかもしれない!」
喜ぶリアスですが、そこにユイカが反論します。
「コレ、誰かの私物じゃないのか?勝手に開けていいのか?」
「いいじゃないの、こんな所に置きっぱなしにしてるのが悪いんだし」
「・・・・・・」
悪魔って・・・。アリナの言葉に、ユイカは唖然としてしまいました。
さらにリアスがとどめの一言
「それに今は一刻を争う状態だ。誰かの物だからってためらってる暇なんて無い」
「・・・わかった」
反論する気力を失くしてしまったユイカは、しぶしぶ承知して、それを開けました。
その中には、色々な道具の他、結構長いロープが入っていました。空気を読んでくれました。
これは好都合と、早速ロープを矢の後ろにくくりつけました。
「いくぞ」
「お願いしますー」
ユイカは矢を射ました。矢は雨にも負けず風にも負けず侍兄妹が乗っている板に刺さりました。
『おおー』
兄妹は思わず拍手を贈りました。
「ふう・・・」
上手くいったので、ユイカは安堵の息を吐きます。
「よし。じゃあ後はロープをひっぱるだけだな」
「そうね。私パワーないからここで応援しとくわ」
応援する気も全く無さそうに、アリナは言いました。
「へいへい。じゃあ勝手にそうしてろ。天魅ー矢が抜けないように押さえててくれー」
「はーい」
天魅は手を大きく振って返事をし、言われたとおり矢を押さえました。
さあ、これで準備はバッチリです。さあ引っ張るぞ!
と、思ったその時。
『ありったけの、ゆーめをーかきあつめー♪』
某海賊アニメの第一期OP曲を歌い、小型の船に乗ってはしゃいでいるラウトとヤイナの馬鹿二人が近づいてきました。洪水でちょっとした海賊気分でも味わっているのでしょうか
馬鹿二人は丁度、侍兄妹が乗っている木の板と、アデル宅の屋根とをつないでいるロープにさしかかると
「んー?このロープ邪魔だなー。どうする?」
「そんなのじゃあ切っちゃえYO!」
「OK牧場!」
ラウトの言葉をあっさり真に受けたヤイナは、剣を取り出すとロープをそれで切ってしまいました。
「あ!!」
侍兄妹を救う唯一の希望が今、馬鹿二人の手によって絶たれてしまいました。
大変なことをしでかしたことに全く気づかないヤイナははしゃぎながら言い出します。
「よっしゃあ!・・・ん?なあラウト」
「今の俺はラウトじゃない!キャプテンラウト様だ!」
「じゃあキャプテーン。何か上空にでっかい槍が見えるんだけどアレ何だー?」
「へ?でっかい槍・・・?」
馬鹿二人が見上げると、確かに真上に大きな槍が、刃をこちらに向けて二人を見下していました。
「ふえ?」
何だアレ?ラウトが首を傾げた瞬間
「真槍神理ぃ!」
「んぎゃ――――――!!」
巨大槍、てか真槍神理は小型の船に見事命中。船を木っ端微塵に破壊しました。