ディスガイア小説

□悪魔的運動会
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しばらく目線だけで探していると

「いえーい!」

家の屋根の上を楽しそうに走るサラの姿がアデルの目に飛び込んできました。

これにはアデルさんびっくり。

「うおおおい!何してんだ!」

「ん?どうしたの?」

アデルの叫び声に気づいたサラが、こちらを向きました。

「どうしたのじゃない!何してんだお前は!」

「屋根の上走ってる」

「そんなことぐらい見ればわかる!人ん家の屋根の上走るな!」

「悪魔なんだから常識に囚われちゃダメだよ」

「俺は人間だ!」

悪魔社会のど真ん中にいる人間(実は悪魔)のアデルが叫んだ瞬間、突然一体のゾンビがサラの前に現れました。

「え?」

どうしてこんな所にゾンビが・・・。彼女が状況を判断するより先に、ゾンビはゾンビ砲を発射。サラにクリティカルヒット。

「に゛ゃ――――――!!」

大きく吹っ飛んだサラは、屋根の破片と共に空へと消えました。一瞬で星になりました。キラリン☆

「・・・・・・え?」

アデルさんびっくり、そしてすぐに思い出します。ラウトが言った言葉を

「邪魔ってこれのことか!」

そうで〜す。そう答えるようにゾンビがアデルに向かってゾンビ砲を撃ってきました。

「おっと!」

スピードの高いアデルはひょいひょいとゾンビ砲を回避します。こんな攻撃、当たったらヤバイですが当たらなければ意味がありません。

次にモスマンの地獄のリン粉が飛び、ウッドゴーレムのラッシュアワーがアデルに襲い掛かってきます。アデルピンチ。

「うおお!?思った以上に激しいな!」

流石はアデル、無駄に高いスピードを生かし、ひらりひらりと攻撃をかわしまくります。そして隙を見て魔拳ビックバンでまとめて撃破しました。地面に大穴が開きました。

「無駄にとかいうな!それにしても、リアス達は大丈夫なのか?」

我が弟子を心配するアデルは、視界を自分の前方にいるリアスと天里の方へと向け、駆け出します。

これだけ激しい攻撃です。いくら二人の防御力が高くても、かなりのダメージを食らうことは間違いありません。しかし

「なんだ、もう終わりか」

「あまり手ごたえがありませんでしたね」

無数の悪魔の屍の中心にいる二人を見て、アデルは自然と足を止めてしまいました。ちなみに二人は無傷でした。

そんな化け物並みの強さを誇るリアスと天里は、アデルに気づき一言

「あ、師匠」

「アデルさん、お怪我はありませんか?」

「あ、うん。大丈夫・・・」

自分の弟子の見事な成長ぶりを見て、ちょっぴり切ない気持ちに、例えるなら息子が自分の身長を超えたときの父親のような気持ちになったアデルでした。





第二コーナー。村の北。

そこに待ち受けていたのは、なんと

「良い子の悪魔も悪い子の悪魔もこんにちわ。エンプーサのエンちゃんよ」

「女好きのアナタも男好きのアナタもこんばんわ!ネコマタのニャーちゃんよ!」

エンプーサとネコマタがお色気セクシーポーズをして三人を待ち構えていました。さらに

『二人そろって!ホホルト村スケバンズ!』

ご丁寧に自己紹介をしてくれました。ちなみにこの自称スケバングループいつもは三人なのですが、今日は一人風邪で欠席なんだそうです。

素敵なセクシーポーズで名乗り上げた二人を見て、周囲のギャラリー(特に男)が物凄い歓声をあげました。うおおおおお!誰かカメラ持って来い!

「あ・・・お前らこの前村のプチオークをカツアゲしていた・・・」

どうやらリアスはこの二人に見覚えがあるようです。てか自称じゃないんだ、ちゃんとスケバンらしく悪いことやってたんだ。

「(すけばんって何だろう・・・)」

「(何で女が出てくるんだよ・・・)」

スケバンの意味を知らない天里は首を傾げ、女が苦手なアデルはタメ息を吐きました。セクシー系美女に興奮するほど、彼らは暇じゃないのです。たぶん

そんな男二人を無視して、ニャーちゃんはリアスに言います。

「へー、アンタアタシ達のこと知ってるんだー」

「そろそろ私達も有名になってきたのね・・・ホホルト村のマスコットキャラになるものそう遠くはないわ」

セクシーポーズをやめ、頬を赤くしておしとやかに喜ぶエンちゃんに、男達(侍とデビルバスター除く)の歓声が再び飛び交います。てかあんたマスコットキャラになりたいのか

リアスは、何でこんなに盛り上がっているのか疑問に思いつつ、言い出します。

「北コーナーで邪魔をしてくるのはお前達なんだな」

「そうよ!このネコマタのニャーちゃんの攻撃で怪我したくなかったらとっとと逃げることね!金置いて!」

セクシーポーズをやめ、手を腰に当て反対の手の指でリアスを指すニャーちゃんは、さり気なく「金よこせ」と言ってきました。

「生憎逃げるなんて言葉、俺の辞書にはないんでね」

少し生意気そうにリアスが余裕綽々の一言

「あら、二対一で勝てると思っているの?」

くすりと小さく笑うエンちゃんが、リアスを見下しつつ言いました。実際この二人のレベルは魔神クラスとまではいきませんが、かなり高いです。しかも二対一となっては、リアスがいくら強くてもかなり不利なのは間違いないでしょう。
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