□澄んだ空
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平家の御殿にも春が訪れ桜咲き誇る時…
怨霊を封じるという神子の存在が明るみとなった


「えぇい小賢しい!!源氏の神子がなんだというのだ!!」

今は怨霊の身となった幼少の姿の父…

「父上…その源氏の神子とは?」

「おぉ知盛!!そうよ我にはそなたが頼り!龍神の神子とて所詮は小娘…そなたにはかなうまい」

龍神の神子―…

伝説などではなかったということか……

クク…面白い





源氏の神子…


お前は俺を楽しますことができる女か?

この渇きを潤してくれる存在か?










空はただ…これからのことを予想するかのように

ただ…どこまでも澄み渡っていた








〜澄んだ空〜



「知盛様!!火の中を源氏の神子一行のみが切り抜けたようで…恐らくこちらに向かったかと!!」




ついに源氏の神子と対面…というわけか

山に火の手が上がり兵の入り乱れる血の戦場…

血がたぎるとはまさにこういうこと…か


「平 知盛!!!」


来たな―…

源氏の……



!!?


あれが…源氏の神子?刀を交えたところで耐えきれるとも思えぬ

ただの娘じゃねぇか…




「お前が源氏の神子か」

「そうよ!!知盛!!戦をやめて!!!」

「ふ…何を言い出すのかと思えば…
そんな連れないこと言うなよ。」


カキン―ッ

乾いた音で刃が交わる


「俺は伝説の神子様とやらと一戦交えたくてウズウズしてるというのに」



刀を交えてわかったこと―…




源氏の神子の力は


【強さ】ではないこと…




「知盛…っ」


俺の手は自分でも気がつかねぇうちに
神子の腕を掴んだ。


暖かな風が吹き



彼女の力が【優しさ】という代物だというのが


渇いた俺の感情にも


はっきりとわかった―…




俺はきっと…
情けねぇ顔さらしてたんだろうな…



自分に苦笑して
源氏の神子の華奢な体を引き寄せる




血のたぎる戦場の中で――


俺は安息の場を見つけた…






空は目に沁みるほど



青く澄んでいた―…



遙か遠くまで…


ずっと


ずっと―…








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