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□月影の詩
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儚いものはそう…
いつも綺麗で優しいから…
「神子…」
敦盛さんのぎこちない手が私の髪に優しく触れるのを感じた。鎖がたてる音さえが悲しく美しい…
「…私は思っていたより欲深いみたいだ」
困ったように笑った敦盛さんは私の髪を撫でたかと思うと
間をおいて私を強く抱きしめた。
「幸せだった…
そして…
これからもこの幸せを手放したくはない」
「敦盛さん…」
彼女は少し驚いて
安堵したように微笑んだ。
きっと私はこの愛しい人の中に居場所がある限り
消えることはないだろう―…
確証があるわけではないのだが…
この人を置いていく日など考えられない
…理由はそれだけでじゅうぶんだ
月に溶けそうなほど美しい貴女なのに
世にとどまる力と想いの強さを持つ人だから
私はしばらく
この世にとどまることを許されるかもしれない―…
「敦盛さん!!
これだけ私の中に入り込んだ挙げ句
勝手に私のもとから消えるだなんて許しませんからねっ」
腕の中から上げた顔に
「やはり貴女にはかなわない」
愛しさが込み上げた
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