菌受け小説
□傘
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傘
ポツポツ・・・
雨が降っていた。
俺は、バイト帰りに急に降り出してきた雨に打たれまいと、そのとき近くの公園の滑り台の穴になっている部分で雨宿りをしていた。
けれど、待っていても未だに雨は止まない。むしろ、強くなっていくばかり。
ゴロゴロ・・・
雷もなりはじめた。
(あー…ますます雨がひどくなってきたな…しかも雷鳴ってるし…
嫌なんだよな…雷って…昔から光った瞬間とか煩い音が苦手だ…早く、雨なんかやんでしまえ!)
ゴロゴロゴロ。
強い音が聞こえて耳をふさいだ。
孤独な一人ぼっちの世界。
昔、まだ俺が幼いときに黴菌星で帰ってる途中に雨が降り始めたから、近くにあった公園で駆け込んだけど、ますます雨は強くなって、雷もなって怖くなったから、うえ〜〜んって泣いてたんだっけな。
早く母さんが来てほしくて、目元を真っ赤にして泣いてたっけ。
「今の俺、なんだか昔の俺とそっくりじゃねえか…」
そう言って、思わず笑ってしまった。
何で笑ったんだろう…わかんないけど。
雨なんか大嫌いだね…大嫌い…
早く…早く止んじゃえ。