IC21/筧
待ち合わせ場所には5分前に着いていないと落ち着かない、と思うのは俺だけなのだろうか?
水町なんかと待ち合わせると必ずと言っていいほど、アイツは遅れてくる。
って、水町の事なんてどうでもいいんだよ!
「あのさ、何分前に着いてた?」
「え?えっと…、その…、」
言葉を濁して、俺から目線を逸らした彼女。
そんな彼女をじっと見つめた。
「‥‥さ、30分くらい前から‥‥。」
と小さな声で俯いて答えた。
多分、彼女の顔は真っ赤になっているんだろうな、なんて暢気に思ったが、一瞬にしてその考えが掻き消された。
「30分!?」
「…う、うん…。」
「今日、寒いだろ!ったく大丈夫か?」
「大丈夫だよ?」
そう言って微笑んだ君の頬はとても赤かった。
寒さの所為?
それとも…、
何でそんな早く来たのかと、問い詰めたら『筧くんを待たせる夢を見た』と彼女は言った。
そんな彼女があまりにも可愛かったので思わず抱きしめてしまった。
2010.3.24