Re!短編

□8割の嘘と、
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「ひば、」
「煩い」
「ぶっへぁ!痛い!」


大好きな雲雀さんの元へいつもどおりパンを買って訪れると、ドアを開けた瞬間に顔面にりんごが飛んできた。わぉ、ジャストミート!
その痛みに呻いていると、なんと次はフォークが飛んで…や、えええ!
持ち前の反射神経でなんとか避けると、ビイィン!なんつって壁に垂直に好き刺さった。


「いくら私でも今のは流血沙汰っすよ。」
「いいねそれ」
「え、どこが?」
「そのまま病院にでも運ばれたらいい」


(訳:出ていけ)
うわぁ満面の笑み。きっと私以外は誰も見たことないよね!

まぁこんな冷たい態度も暴力もいつもどおりなので問題ない。
人よりちょっと丈夫でタフな私には、雲雀さんの暴力も別にへっちゃらである。ま、雲雀さんは手加減してくれてるんだろうけどね!


「愛だよね!」
「死んで。」
「雲雀さん知ってます?シャーペンの先でグリグリされると結構痛いんですよ、知ってます?」
「芯HBだから大丈夫でしょ」
「いや意味わかんな、いだだだっ」


雲雀さんに買ってきたサンドイッチとりんご(凶器)を渡すと、やっと顔を上げてくれた。ああ、睫毛長いなぁ、肌きれいだなぁ。
今日もお美しい!と言うと芯を額に刺したままカチカチされた。


「いだだだ!雲雀さん、後頭部抑えるのはちゅーの時だけに、痛い!」
「…折れた」
「あああ穴開いた、絶対おでこに穴開いた!」
「代わりに芯が埋まってるから心配ないよ」
「凄く体に悪そう!」


楽しそうに口端を上げる雲雀さんに涙目で訴えると、額から芯を(一回めりこませてから)抜いてくれた。うわぁなんてサディスティックな笑顔。
じりじり痛む額を抑えちょっと涙目になりながら、ソファに座り、自分のお昼のおにぎりにかぶりつく。と同時にまた頭にりんごが以下省略。
き、聴こえない。座るな食べるな帰れだなんて言葉聴こえない。いやまじで聴こえないんだけど雲雀さんの目がそう言ってる。…はっ!これって以心伝心!?


「愛だよね!」
「黙れ」
「雲雀さんとちゅーしてる間は黙ります」
「ついでに心臓も止める気ない?」
「このまま雲雀さんが手の力を緩めなければどっちも止まります、よ…っギブギブ!」


もうそろそろ意識飛ぶんじゃないかってところで、私の首を絞める雲雀さんの両手から力が抜けた。と同時にやっと空気が喉を通った。


「けほっ、…酸欠」
「苦しい?」
「当たり前、っん」


ああもう雲雀さんてばどんだけサディストなんだろう。喉塞がれて息できなくて死にかけたってのに、文字通り息つく間もなくお次は口を塞ぐだなんて。
後頭部は抑えられてないけどソファと雲雀さんにサンドされる状態で、苦しいけど抜け出せない、抜け出す気もない。
酸欠だからか、それとも異常な心拍数のせいか。頭が、くらくらする。


「…っぷは!」
「僕はキミが嫌いだ」
「…え、このタイミングで言う?」
「でも」


無視か。が、話を続けるかと思えば、雲雀さんはまだ肩で息をする私の口を、再度塞ぐ。
いやまじで死ぬ、窒息死する。でも雲雀さんのちゅーで死ぬだなんて、ロマンチック!ああでも嬉しいのになんでか目から汗が、ぐすん。


「げほ、…ぐす」
「…そんな顔したキミは、嫌いじゃないよ」
「う、サド!でもすき!」
「息荒げて言わないでよ気持ち悪い」
「誰のせいだ誰の」





二割の




*HAPPY BIRTHDAY、雲雀!
2010,05,05.


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