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□星に願いを
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どうかどうかお星さま…
-星に願いを-
七夕の夜。
雲の上では彦星と織り姫が密会をしているだろう。
それを邪魔されないために、七夕の夜は天気が悪いのだという話を誰かに聞いたことがあった。
「…新八?」
「あっ、すみません起こしちゃいましたか??」
いつものように布団に入ったはいいものの、なかなか寝付けず空を見上げていた。
「いや、何見てんの?」
のそりと布団から出てくると新八の横に並んで空を見上げた。
生憎の曇り空。
「織り姫と彦星はちゃんと会えたのかなぁって」
そう呟く新八の顔はどこか悲しそうに見えた。
「…どうした?」
頭を抱え込むように新八を抱き寄せた。
「どうもしませんよ。ただ…」
「ただ?」
「ただ、年に一度しか会えないのは、悲しいなぁって」
腕の中にすっぽり収まった小さな頭が、まるで甘えるようにすり寄ってきた。
「僕だったらきっと我慢出来ずに川を泳いで渡ります」
「あらら、新八くんってば大胆じゃない」
そう言って笑う銀時に新八は続けて言った。
「でもきっと…流されちゃうんでしょうね」
泳いでも泳いでもあなたには届かなくて、力尽きて流れに飲まれてしまう。
そして今度は永遠に会えなくなる。
「それじゃ意味ないですよねぇ」
新八は笑っているがその笑いに力がなかった。
顔を上げることもなく頭を垂れたまま新八は笑っている。
本当に笑ってる?
「新八…何で泣いてるの?」
顔を覗き込めばポロポロと涙を流していた。
「あれ…??僕何で泣いてるんだろぉ…」
変ですね。と言って新八は笑ったが涙は止まらなかった。
「俺だったら迎えに行くよ」
「えっ??」
「流される前に迎えに行く」
新八の目尻にキスを落とすと銀時は優しく笑った。
「俺は絶対にお前を置いて行かない」
「…本当ですか??」
「マジマジ」
二人は見つめ合うとふっと声を立てて笑った。
幸せな時間。
こんな時間がいつまでも続けばいいと思う。
どうかどうかお星さま
僕の願いを叶えて下さい
どうかいつまでも…
いつまでもこんな時間が続きますように
END
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七夕終わっちゃった(笑)