☆ss☆

□夕暮れ
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「へくちっ!」

くしゃみで目が覚める。どうやら眠ってしまっていたらしい。

「今何時だろぉ…」

むくりと起き上がると、隣で今だ神楽と銀時がすやすや気持ち良さそうに眠っているのが目に入った。
新八はくすりと笑うと、二人の髪を優しく撫でた。

ヒヒヒヒヒヒ…

外からはひぐらしの鳴き声が聞こえてきた。

「もうすっかり夕方になっちゃった」

真っ青だった空が今はすっかり夕焼けで真っ赤になっている。
まだまだ蒸し暑いが日差しはだいぶ柔らかく吹いてくる風も幾分か冷たい。

新八は戸口に歩いていくと空を眺めた。

夕焼けのせいで見える世界は全てが真っ赤…白いはずの雲でさえオレンジ色に染められている。

「神楽ちゃんの色だ」

少女の髪の色によく似た、あたたかく優しい色。

「空は銀さんの目の色かな」

普段死んだ魚のような目をしているのでわからないが銀時の目は赤い。
怖いという印象を受ける人が多いが新八は好きだった。
すべてを包んでくれる赤…やはりこれも優しい色。

「僕だけなんか仲間はずれかも…」

空には僕の色がない。そんな気がしたら急に寂しくなった。

「あんじゃん。お前の色」

いきなり後ろから銀時が覆い被さってきた。

「うわっ!銀さん起きてたんですか??」

「まぁな」

新八を後ろから抱きしめたまま銀時も空を見上げた。
太陽はもう半分顔を隠し空は夜色に染まり始めている。

「お前は太陽だよ」

「えっ??」

「空だって雲だって太陽に照らされてあんな色になるんだろ??」

「そうですよ」

「だったらお前は太陽。俺たちは新八っていうあったかい太陽に照らされてその色に染まっちまうんだよ」

暗闇に居た俺たちを照らしてくれたのが新八だ。
もし、新八に出会えなかったら当たり前の日常が幸せなんだって気付かなかった。

「俺たちは幸せ者だ」

「銀さん…」

振り返れば照れくさそうに頭を掻く銀時が居た。

「僕も幸せですよ」

二人は自然に唇を重ねると幸せそうに笑った。

「私も仲間に入れるネ」

銀時の背中にトンと神楽がぶつかってきた。

「神楽ちゃんおはよ」

「おぅ」

新八は銀時越し神楽を抱きしめた。

「神楽ちゃんも幸せ??」

「なに言ってんだメガネ」

怪訝な顔をすると銀時と新八の間に割って入ってきた。

「幸せに決まってんだろ」

新八の胸に顔をうずめたまま神楽が言った。よく見れば耳が赤い。
どうやら、面と向かって言うのは恥ずかしかったらしい。

銀時と新八は顔を合わせると笑い、神楽を挟んで思い切り抱き合った。


空には一番星がきらりと輝いている。











END
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しまった!!定春忘れた!!

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