☆ss☆

□梅雨
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ザァー

「雨、止まないアルな」

外を眺めながら神楽はつぶやいた。
梅雨入りしたこともあり連日の雨が続いている。

「しょうがねぇだろ。梅雨なんだから」

銀時はやる気なさそうに寝転がってジャンプを読んでいる。

「つまんないアル」

「しょうがないよ。梅雨なんだから」

銀時の横で縫い物をしている新八が答えた。
神楽はぷぅと頬を膨らませた。

「なにアルか梅雨梅雨って!!うざったいアル!!」

「神楽ちゃんはいいじゃない。銀さん見てみなよ??」

「あぁ??」

神楽が銀時を見るといつもより頭が大きい。

「銀ちゃん頭でっかち」

「しょうがないよ。天然パーマだから」

連日の雨のおかげで湿気はマックスに近い。
そのおかげで天然パーマの銀時の髪の毛は倍になっている。

「ね、僕たちなんていい方でしょ??」

「そうアルね。ごめんよ銀ちゃん」

「だー!!うっせぇてめーら!!」

いろいろ言われるのに耐えられなくなった銀時がかばっと起き上がった。

「これでも押さえてる方なんだぞ!」

「銀さんそんな努力してたんですか??」

普段ずぼらな銀時がそんな努力をしているなんて知らなかった。
どちらかと言えば寝癖が付いたまま平気で学校に行くタイプの人間だ。

「なんですかその目。銀さんが努力したらいけないんですかコノヤロー」

訝しげな目を向けていると銀時がつっかかってきた。

「そういう訳じゃありませんけど…」

「努力した結果がこれアルか??」

神楽が言うとおりはっきり言って全然抑えられていない。
むしろ昨日より悪化しているような…

「いったいどうやってるんですか??」

「あれ?新ちゃん知りたいんですかぁ?」

なぜか銀時が勝ち誇ったような顔で見てくるので、新八は冷たくあしらった。

「いや、別に」

新八は答えると縫い物を再開した。
どうせろくな事ではないのだ。聞かなくたって痛くも痒くもない。

「ちょっとなに、その態度!神楽は聞きたいだろ?」

新八にあっさり振られてしまったので、銀時は神楽に声をかけた。

「私もともと銀ちゃんの頭になんて興味ないネ」

銀時の方に見向きもせず、くちゃくちゃと酢昆布を食べながら新八の縫い物を眺めている。

「新八は器用アルなぁ」

「ありがとぉ。これくらいだったら神楽ちゃんでも出来るようになるよ??」

完璧に銀時を無視した状態で二人は話をしている。
気にくわない。

イラついたまま銀時は部屋から出ていこうとした。

「あれ、出かけるんですか??」

「…便所」

バタンと襖を閉めるとドカドカと歩いてトイレに向かった。

「銀ちゃん行っちゃったアル」

「ふふっ。ちょっといじめ過ぎたかな??」

「あれくらい平気ヨ。チョコのひとつでも与えたら元通りアル」

神楽と新八はくすくす笑った。
縫い物を終えると服を丁寧にたたみ、神楽に渡した。

「あんまり暴れたらダメだよ??」

「おうよ!!」

いつもどこかで破いてくる。
女の子なんだからそこら辺をもう少し気にかけて欲しいものだ。

「さてと…」

新八は立ち上がると居間の方に目を向けた。
おそらく銀時がソファーで不貞寝をしているだろう。

「そろそろおやつにでもする??」

「わぁお!!今日のおやつは何アルか??」

新八はにっこり笑って答えた。

「チョコかな」

「…新八は銀ちゃんに甘いネ」

神楽は呆れた顔をした。

「チョコでも与えておけって言ったのは神楽ちゃんでしょ??」

「そうだったアルか??」

しらばっくれた顔をして神楽は居間に行ってしまった。

「やれやれ…」

新八がため息をつくと、銀時の喜ぶ声が聞こえてきた。
どうやら神楽がおやつの内容を言ったらしい。

「新八ー!!早くチョコー!!」

「はいはーい」



誰もいなくなった部屋には雨の音だけが響いていた。












END
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最近雨ばっかり…

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