キリ番

□変わる心音
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鵺とであったのは初等部の頃、当時私には信頼できる友人などいなく鵺ともいずれ縁が切れるだろうと気持ちのどこかで思っていた……


でも、それは間違いで大人になった今も鵺は友人から友人兼秘書に立場をかえて私の隣にいる



鵺は気難しく短気で他人とあまりかかわろうとしない、だから鵺にとっての一番の理解者はずっと私なんだとおもっていた……






「あっ、和志ーちょっとこれ見ろこれ!」

「ちょっ…」



書類の上から強引に雑誌がおかれた、早く仕事しろ仕事しろとうるさいくせになぜいつも自分の都合で邪魔をしてくるのか




「なぁ、見てる?」


「…はいはい」


急かされて雑誌を手に取る


…というか鵺が若者向けの雑誌を見てるなんて……いや、わかってる、鵺が好んでみてるわけじゃない




「愛息の靴が小さいきがしてな、新しいの買ったほうがいいとおもってさーでも俺若い奴の好みとかわかんねーし」


「成る程」




息子ができてから鵺はかわった、穏やかになったとか人に優しくなったとか、気遣いができるようになった……




というわけではなく、私より烏を優先するようになった

他人にしたら『それは親子だから当然』といわれるかもしれないけど、私にとったら由々しき問題といえる




「これでいいんじゃないですか?万が一烏の好みでなくとも『冬姫と一緒に選んだ』と一言足せば何の問題もありません」


冬姫が選んだものならたとえどれほど悪趣味でも烏は喜んで宝物にするだろう



鵺はどこかふに落ちない様子で『わかった』と頷き雑誌をしまう。



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