銀兎の幸福.アナザーストーリー
□陽華との幸福
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『おれと一ヶ月付き合わないか?』
帽子屋さんから唐突すぎる告白をされた僕は、きっととても間抜けな顔をしていたに違いないとおもう
それに…告白と言っていいのかわからない言葉だったし、一ヶ月ってなんだよってね、一ヶ月したら別れる前提かよ、みたいなね
それでも僕は、いつも口喧嘩ばかりしていた帽子屋さんに好意を向けられたのが嬉しくて
いっとう寒い冬の日だったけれど、僕の心はポカポカと暖かくなっていた
(なんだかよくわからないけど…一ヶ月、だし…)
こうして僕は帽子屋さん
…高松陽華さんと、一ヶ月という制限つきでお付き合いすることになった
のだけど…
僕達は全く恋人のような関係になっていない…!
僕は隣で静かに雑誌を読むハナ君を横目で睨みつける
今日で付き合って十八日目、こうやってハナ君の部屋に遊びにくるようになったけど、ハナ君はだいたいこうやって本を読んで僕のことなんて思い出したかのように話しかけてくるくらいだ!