番外編
□烏の幸福
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(寒い……)
もう春が近いけど、光が遮断された地下はとても寒い。
それにここは……
冷たくて寒くて
なにより
凄く暗い
早く部屋に戻りたいんだけど…
……助けは…こない…かな。
この暗闇からは簡単に抜け出せない
オレの家は…比較的に裕福で
それなりにあったかい家庭を…築いていた…と思う…過去形だけど。
父さんは…会社の社長で、頭がよくて行動力や人望もあり、よく仕事のできる人だった
あと数年もあれば今の会社は大成功して、大企業の社長にだってなっていたと思う
…この前だって、いい商談がきたって喜んでたし
でも父さんは完璧じゃなかった
欠点、があった
心が…弱い人だったんだ
少しでも心のバランスが崩れて不安定になると、無理にバランスを整えようと無茶なことをしてよくからまわっていた
いつか父さんがダメになりそうで、幼いながらに昔から心配してたっけ。