番外編
□刻狐の幸福
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「君、強いんですね」
そろそろ飽きてきた頃に声をかけられた
そちらに顔を向ければこんな場所には不似合いな品のいいスーツをきた男とその後ろに着物をきた男が刻狐をみている
「君、暇なら少し私についてきてくれませんか?」
その男からは言いようのない雰囲気が漂っていた、深く関わると面倒なことに巻き込まれるような只者じゃなさ
普通の人間なら圧倒されてこの場を去るだろうけど、危ないこと好きの刻狐はニコリと口角を上げた
「おもしれーことしてくるなら、いいよっ」
そして連れていかれた先はホテルだった
中学生の刻狐には縁のないお高いホテルで、刻狐は自分の前を歩く二人をみて『やっぱりただものじゃないー』と内心でにまにま笑う
(はっ、てか俺…もしかしてヤられる!?)
思い返せば車内で無意味に密着されて、手を握られていた気がする。