好きな人の好きな人

□第4話
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まなかの家は裕福ではなかった

両親はギャンブルが好きで金ができればほとんどそれにつぎ込んでいてまなかの面倒はろくにみていない

だからまなかはいつもお腹を空かせていたし、いつもみすぼらしい格好をしていた

幼い頃からほっておかれて育ったせいかすっかり消極的な性格になっていて見た目のみすぼらしさから友達は1人もいない

素顔はお人形のように可愛らしいのに伸びっぱなしのぼさついた髪がそれを隠してしまっている


誰もが関わり辛いまなかの事を気にかけてくれる人が1人、小学四年生の時のまなかの担任の女教師だ

教師になって初めて受け持ったのがまなかのいるクラスで、それもあってクラスで浮いているまなかの力になってあげたいと気にかけていた



今日も1人で教室に残って掃除をしているまなかをみつけ声をかける



「まなか君、1人で掃除してるの?」

「あっ…木山先生…もうすぐ、帰ります」

もともとうつむき気味のまなかだけど他人を前にすると恐縮して深く顔を俯かせてしまう

「ほらほら顔上げて!…前髪随分長いねー目にかかってるし視力悪くなるよ、先生視力悪くて不便してるしまなか君には視力悪くなってほしくないなぁ」

ほらほらと木山は自分の眼鏡を指差す。


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