番外編
□刻狐の幸福
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野山田刻狐は不良だった
容姿端麗頭脳明晰、ただ人をからかったり下に見るのが好きで短期で喧嘩っ早い、のでプラスとマイナスでいうとマイナス要素のほうが多い人間だ
まわりの知り合いは刻狐に深く関わらず、怒らせないように気を使いながら接していた、気を使うくらいなら近づかなければいいのではと思われるかもしれないけれど、刻狐には人を惹きつける魅力があった
家族ですら刻狐の扱いには手を焼いて中学になる頃にはほとんど見放されていた
刻狐は捻くれた性格ながらも近くに自分を愛してくれる人がいなくてさみしい……………というわけもなく、日々面白いことないかなーなんて楽しく毎日を生きている
この日も刻狐は荒れていた
たまたまぶつかってきた男を路地裏に引っ張っていき一方的に暴力をふるっている
自分の足元に縮こまりごめんなさいと泣きながら謝ってくる姿が滑稽で笑ってしまう
地元の不良グループに入って喧嘩三昧の毎日をおくっているけど、やっぱりチーム同士の抗争なんかよりこうやって無抵抗の一般人をいたぶるのが楽しい
惨めに泣いて許しをこう姿は刻狐に優越感を与えてくれる。