過去の拍手SS

□拍手5(藍ゆう)
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真っ暗な夜空に、少しだけ光を放つ小さな星。
雲一つない空なのに、光が少ないのは、きっとこの街が明るすぎるからだろう。
帰り道空を見上げ、流れ星でも来ないかななんて、恋する乙女のようなことを考えてみたり。

「恋する乙女……か」


神田さんに言われた言葉。頬に片手を付きながらにやけた顔で神田さんは言った。
この年になって乙女だなんて自分では思えない。
だけど、恋はしている。
それだけは認める。

だけど、その相手はとても近いようでとても遠い。

叶わない恋……だからかな。

もっと仲良くなれるようにと、振り向かせると決意した日から数週間。

メールを増やしたり、ご飯に誘ったり、自分でも驚くくらい積極的になったと思う。
優しい彼女はいつだって全力で返してくれる。

そのことに嬉しくなり、元気がでる。でも、ふとたまに思うんだ。

……期待はしちゃいけないと。

優しいから……ただそれだけのこと…

特別な存在でも、何でもないんだなんて思う自分も嫌で、真っ黒な空に飲み込まれて道が消えてしまいそうで。
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