過去の拍手SS
□拍手4(このせつ)
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枕元にある携帯に手を伸ばす。
時刻は午前1時。
時間を見て迷惑がかかるかもと少し悩む。
画面に映し出されるのは「せっちゃん」と書かれた電話帳のページ。
通話ボタンを押し、彼女が出るのを願って待つ。
1コール………2コール……
いくら待っても出る気配がないので切る。
携帯を握ったまま壁を見つめる。
もう寝てしまったのだろうか。
この時間に起きているのは自分一人だけなような気がして寂しくなる。
先程まで襲われていた睡魔も寂しさにより、どこかへ消えてしまったようだ。
「せっちゃん……」
♪〜♪〜♪
目を閉じた瞬間聞きなれた曲が流れる。
すぐさま携帯の通話ボタンを押すと、そこには待ち焦がれていた貴女の声。
控えめに小さな声で、でも心配そうに「どうかしましたか?」と聞く声に自然とこぼれ落ちる涙。
「あんな、せっちゃんの声が聞きたかったんよ」
「…お嬢様」
「こんな夜遅くにごめんな。でも、もう大丈夫やから」
「すいません……。今日…断ってしまって」
「ええんよ。でもな……ほんまのこと言うと寂しかったんよ」
黙ってしまう貴女に慌てて気にしないでと言う。
「でも……。あの…明日は一緒に泊まりますね。ですから、今日はお嬢様が眠るまで私がお話をしますね」
そう言って、不器用に話始める貴女。
携帯を耳にピタリとあて聞く。
そうすれば、もっと近くで貴女を感じることが出来るような気がしたから。