書庫‐U

□あなたが想うよりもずっと
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朝起きて、

居間へ向かう途中の、

庭に面した廊下で。

その一角に咲き誇っている

昔よりも大分花の増えた桔梗の群れをお前は

どこか愛しげに見つめていて。

その表情に、

無性に、お前を抱き締めたくなって。

後ろから腕をまわし、ぎゅっと引き寄せ

おはよう、と

首元に顔をのせて囁けば

お前は小さく笑みを零し、俯いた。

このあまりにも幸せな日常に溺れてしまいそうだと、


そう呟くその口唇を



オレはそっと塞いだ。



‥‥‥
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