書庫‐U
□心臓が壊れてしまいそう
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昔の様に二人並んで縁側に座り、
庭に生えている花達を眺める。
特に何かを話すわけでもなく、
ただお互い静かに、
穏やかに時が流れていくのを楽しむ。
自分たちの間には緑茶の入った湯飲みが二つ。
ふと、イタチが此方を向き、
視線がかち合う。
右手を絡めとられ、
その甲にそっと口唇を寄せられる。
怖いほどに真剣で
切ないほど想いの込められた眼差し。
「お前さえ傍にいてくれれば、オレは他に何も要らない」
その言葉に息を呑み、
空いていた左手で咄嗟に胸の辺りの合せ目を、
ぎゅっと握り締める。
痛いほどに波打ち高鳴る鼓動。
‥‥‥